とある少女とチョコラート

買い物をするだけの、簡単なお仕事 ページ16

いや、驚いた。買い物って、こんなに大変なんだな。

トリッシュ(呼び捨てでいいと言われた)の気が済むように買い物に付き合っているけれど、靴はこの店がいい、服はそこの店がいい、化粧品はどの店がいい…等々。

とにかく、色んな店へ連れ回されるのだ。その店その店でトリッシュによるファッションショーが開かれる。

どれが似合うか聞かれたけれど、どれも似合っているので答えられない。ジョルノ(こちらも呼び捨てでいいと言われた)とアバッキオさんがいなければ、服を全部買うか、ひとつも買えないかになっていた…



あぁ、それから、私も何着か服を買った。

今までは先生やボスが(なぜか)持ってきた服を着ていたので、こうして自分で見て選んで買うのは新鮮だ。

自分では善し悪しも分からないのでトリッシュ任せのコーディネートになったけれど、服はとても可愛いので満足している。

…服はね、服は。着てる素材が悪いから、なんとも言えないけど。まぁ馬子にも衣装と言うし、それなりには見えると思いたい。


「とても似合っていますよ、A。いつものAも素敵ですが、今の貴女はとても可愛らしく綺麗です」


「ありがとう。お世辞でも嬉しいよ」


「お世辞じゃあありませんよ。あなたはもっと、自分の魅力に気づくべきです」


「……自分の魅力、ねぇ」


そんなもの、本当にあるといいのだけれど。

それにしても、これだけ歩くとさすがに喉が渇くなぁ…ジュース買おうかな、すぐそこにお店もあるし。

トリッシュ達は…また服見てる。ジョルノも呼ばれて行っちゃったし…まぁすぐに帰ってくるし、いいか、言わなくても。後で聞かれたら答えればいいだけだしね。




オレンジジュース、あるといいな。

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