続き ページ33
乱「ボクは…
ごめん、A。君をもう、守れない。
一緒にはいられない。」
『嘘つき...』
僕は駆け出した。
シブヤを、
乱数の、
僕の、
谷を。
乱「待って、A！」
乱数の声は聞こえないふり。
乱数の元に逃げ出してきたのに。
僕は帰る。もといた場所に。
『やっぱり、嘘ばっか。』
僕は足を止めた。
乱数の谷とはお別れ。
悲しいような、苦しいような。
でも何故だか、涙は出ない。
とうの昔に枯れ果てた。
『さようならだね。乱数』
背後にいる乱数にそっと呟いた。
乱「A、ごめんね…
ボクは君を、傷つけたくなくて。」
『いいんだよ。傷なんて、もう付けられる場所、無いから。』
乱「どういうこと...？」
僕は袖を捲った。
昔につけた傷跡。
痛々しい程に残っている。
乱「なに...これ。」
『昔につけた。
僕ね、此処で
孤児院で、嘘つかれて。虐められた。
その時に自分でつけた傷。』
乱数の顔は蒼白だった。
驚いていて、声が出せないようだった。
『だから僕、いや、私
シブヤから逃げ出したかった。でも、乱数がいてくれたから。
少しぐらい、まだ居てもいいかなって。』
乱「そんな...ごめん。
Aを傷つけちゃったね。」
『私、最後に乱数の気持ちが知りたいな。』
乱「本当は、傍にいて欲しい。
離したくない！
ボクの支えだったから...
好きだから！」
全てを話してくれた。
乱数の本当の気持ち。
嬉しかった。
『そっか...ありがとう。
でも私、もう此処にはいられないみたい。
新しい家族の所に行くから。
引き取り手が見つかったから。
最後に、私も好きだったよ。
ばいばい。乱数』
私は振り返らずに走った。
乱数の啜り泣く声が聞こえた。
私も嘘をついていたよ。
本当は、シブヤが
乱数の、
かつての私の谷が
大好きだった。
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唐揚げ王子(プロフ) - あずま真太郎さん» はじめまして、コメントありがとうございます！私、甘い系の小説が得意じゃなくて...尊敬してもらえるなんて、光栄ですm(__)mこれからもよろしくお願いします(^^) (2019年2月17日 1時) (
レス) id: e0d91b994f (このIDを非表示/違反報告)
あずま真太郎 - はじめまして!こういった甘すぎない感じの夢を書けるのが尊敬します…!更新頑張ってください♪お体には気をつけて(´ω` ) (2019年2月17日 1時) (レス) id: 9ab5b26630 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：唐揚げ王子 | 作成日時：2019年2月6日 1時
