37.「ええアホですよ」 ページ38
「カラ松さん。アナタはどうしてそんなにアホなんですか」
「ア、アホだと……!?」
「ええアホですよ。もう救いようのないアホですよ」
平然と言い切る私を見ながら、カラ松さんは「オレはアホなのか……?」とまるで理解できないようにアホと反復する。いやもうその感じが大分アホっぽいのだけれど。
というより、彼は人間になることの意味をきちんと把握しているのだろうか。吸血鬼はほとんど不老不死に近いと以前耳にしたことがあるが、比べて人間は100年も生きられるかどうかわからない生き物だ。
──つまり、カラ松さんは“限りある命”を得てしまった。もう兄弟達と同じように永遠を生きることはできないのだ。
「お兄さんや弟達よりも、ずっと早くに死んでしまうんですよ」
それで良かったんですか、と問う。全てが過ぎてしまった今、何を言ったところで戻れるはずも無いのだが、私は彼が後悔していないか尋ねずにはいられなかった。
するとカラ松さんは腕を組み、少し考えるような素振りを見せる。
そして、
「オレは、Aと同じ時間を生きたいんだ」
……なんて、照れ臭そうに笑った。
「君のいない世界を永遠に生きるくらいなら、オレは終わりある人生を君と共に過ごしたい。
例え兄弟と死に別れる時がきたとしても、オレはAを愛した一生を後悔することは、きっと無いだろう」
だからこれで良かったんだ、と。
…………。
そんなに、言うなら……。
「じゃあ、それは責任をとってくれるってことですよね?」
「責任?」
ぽかん、と口を開きカラ松さんは首を傾げる。まさか忘れたなんて言わせないぞ。私はしっかりと覚えているんだから。
「私がさっき意識を失う前、キスしましたよね」
「え、あ、まあそうだが」
「あれ、ファーストキスなんです」
「なっ!? そうだったのか!?」
「はい」
華の女子高生の唇を奪った罪は重い。
てなわけで。
私はカラ松さんの胸ぐらを掴み上げ、一気に引き寄せた。
「責任とって、ちゃんと結婚してくださいね?」
「……へ?」
──拍子抜けしたような間の後、目元に涙を浮かべながら「ハニィィ……!」と抱きついてきたカラ松さんの姿は、今でもいい笑い話だ。
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暇人(プロフ) - 泣いた (2018年8月12日 0時) (レス) id: adf691658b (このIDを非表示/違反報告)
サクラ - 結婚してほしい主人公とカラ松くん! (2018年4月9日 15時) (レス) id: 82bd22f655 (このIDを非表示/違反報告)
衿川紗倉 - わああ!最高です!面白かったです!!おまけの更新頑張ってくださいね! (2018年4月5日 11時) (レス) id: b3d6cd4611 (このIDを非表示/違反報告)
金平糖@ラビが大好きリーフパイ(プロフ) - わー!!完結おめでとうございます!!カラ松最高にかっこよかったです!おまけの更新、頑張ってくださいっ!! (2018年3月19日 6時) (レス) id: 942887e5ad (このIDを非表示/違反報告)
アオト(プロフ) - タナトさん» コメントありがとうございます!そこまで感情移入していただけるとは光栄です!これからも頑張ります! (2018年3月19日 1時) (レス) id: a3077fa68a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アオト | 作成日時:2016年12月18日 1時