36.「まあそうなるな！」 ページ37
「あまり驚かないんだな。ハニーのことだから、吸血鬼ジョークやめてください、なんて言うと思ったんだが」
「いやもうそれを通り越して認めましたよ」
「こんなオレを受け入れてくれるのか！？」
「受け入れるというか……受け入れざるを得ないというか……あまりにすっ飛んだことが起こりすぎて、多分何でもアリになってるんです。私の脳みそが。だから今ならここが天国だって言われても納得すると思いますよ」
一周回って冷静になってるわけだし。
「でもやっぱり不明な点はあるので、どうしてカラ松さんがそうなったのか、簡単に教えてください」
少しの間をおいて、カラ松さんは頷く。
「ハニーは知らないだろうが、オレ達吸血鬼には“死人を蘇らせる力”があるんだ。しかしそれが発揮できるのは、あるいくつかの条件が揃った場合のみで、しかも一度しか使えない」
「……条件？」
「ああ」
そして、彼は続けて口を開いた。
──ひとつ。その相手がまだ死んで間もないこと。
──ひとつ。満月の晩であること。
──ひとつ……、
「心から、愛していること」
ニヤ、と彼の浮かべる笑みは、前となんら変わりないいつもの鼻につくドヤ顔であった。私はそんな彼を数秒見つめ、またもや長い溜め息を出す。ああもう、どうしてこの人は……！
いや待てよ、吸血鬼の特殊能力についてはわかったものの、その説明だとまだ答えには辿り着いていない。私が知りたいのは、何故カラ松さんが吸血鬼でなくなったのか、なのだ。
「ああ、大事な部分を話していなかったな……実はこの“死人を蘇らせる”という行為には、大きな代償を伴うんだ」
……本来死ぬはずの人間の運命をねじまげるのだから、相応の報いを受けるのは当然のことなのかもしれない。
「そしてその代償というのが、自らの死。つまり死をもって、生を与える。結果、オレはハニーを蘇らせることができた」
「え？ でもカラ松さん、生きてますよ？」
彼の碧眼が妖しく光る。
「いいや。ハニーの命と引き換えに、オレは間違いなく死んだ。
──……“吸血鬼としての松野カラ松”は、この世からいなくなったんだ」
これが、人間になった経緯だ、と。
……は？ それって……。
「わ、私なんかのために、吸血鬼をやめたってことですか……？」
「まあそうなるな！」
彼は自信ありげに胸を張った。
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暇人(プロフ) - 泣いた (2018年8月12日 0時) (
レス) id: adf691658b (このIDを非表示/違反報告)
サクラ - 結婚してほしい主人公とカラ松くん! (2018年4月9日 15時) (レス) id: 82bd22f655 (このIDを非表示/違反報告)
衿川紗倉 - わああ！最高です！面白かったです！！おまけの更新頑張ってくださいね！ (2018年4月5日 11時) (レス) id: b3d6cd4611 (このIDを非表示/違反報告)
金平糖@ラビが大好きリーフパイ(プロフ) - わー！！完結おめでとうございます！！カラ松最高にかっこよかったです！おまけの更新、頑張ってくださいっ！！ (2018年3月19日 6時) (レス) id: 942887e5ad (このIDを非表示/違反報告)
アオト(プロフ) - タナトさん» コメントありがとうございます！そこまで感情移入していただけるとは光栄です！これからも頑張ります！ (2018年3月19日 1時) (レス) id: a3077fa68a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アオト
| 作成日時：2016年12月18日 1時
