03.「断ったばかりですけど!?」 ページ4
「
「なるほど! ハニーだな!」
「答えた意味!?」
「名前まで甘いなんて罪深いぞ」
「何言ってんだこの人」
全くもって会話の噛み合わないカラ松さんに困惑しながらも、私は“家に帰る”という目的を思い出す。そして説得を諦め、「もう帰ります」とだけ告げ、仁王立ちしている彼の隣をスッと横切った。
途端にガッと掴まれる腕。
「お、オレを置いていくのか……?」
「なんでそんな泣きそうな顔してるんですか?」
「ハニーと結婚するまで離さないからな!」
そう言って体重までかけてくる始末。2つの意味で重い。
「わっ、私にも帰る家がありますから!」
「オレも一緒に帰る!」
「なぜ!?」
「夫婦というものは一心同体だろう!」
「さっきプロポーズ断ったばかりですけど!?」
とにかく! もう私を口説くのは明日にしてください! 若干苛立っていた私がそう強くはっきりと突き放せば、思いの外カラ松さんはすっぱりと手を離した。
や、やばい。
いくらしつこいといえども相手は吸血鬼だ。怒らせたら一体どんな報復が待っているか……! がしかし、そんな私の心配もすぐに杞憂と化す。
「わかった! じゃあまた明日会いにくる!」
ニカっと爽やかスマイル。ま、眩しい!
ていうかさりげなくまた会う約束をしてしまったよね。私ってバカなのか?
ニコニコと嬉しそうに笑うカラ松さんとは裏腹に、心底だるそうな形相を浮かべる私。その差は一目瞭然だが、それを察する能力は残念ながらカラ松さんには無いらしい。
「……とにかく、もう今日は帰りますから」
「そうだ、帰り道には気をつけるんだぞ。ハニーを狙う不届き者は山ほどいるだからな!」
「ええ。すでに目の前に」
「なんだと!? でてこい! 懲らしめてやる!」
犬歯をむき出しにして周囲に威嚇するカラ松さんは一途なのかアホなのか。いや後者である可能性がかなり高いが、口にするのも面倒なのでやめておこう。
しばらくして、カラ松さんはひとまず周りに怪しい人物はいないと判断したらしい(お前が1番怪しいけどな)。
「じゃあな! ハニー! 愛してるぜ!」
「はいはい……」
ヒラヒラと呑気に手を振って。
──はぁ。
たった数分の出来事がひどく長く感じた。
明日に向けてやることは1つ。
吸血鬼について、少しだけ調べておこう。
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暇人(プロフ) - 泣いた (2018年8月12日 0時) (レス) id: adf691658b (このIDを非表示/違反報告)
サクラ - 結婚してほしい主人公とカラ松くん! (2018年4月9日 15時) (レス) id: 82bd22f655 (このIDを非表示/違反報告)
衿川紗倉 - わああ!最高です!面白かったです!!おまけの更新頑張ってくださいね! (2018年4月5日 11時) (レス) id: b3d6cd4611 (このIDを非表示/違反報告)
金平糖@ラビが大好きリーフパイ(プロフ) - わー!!完結おめでとうございます!!カラ松最高にかっこよかったです!おまけの更新、頑張ってくださいっ!! (2018年3月19日 6時) (レス) id: 942887e5ad (このIDを非表示/違反報告)
アオト(プロフ) - タナトさん» コメントありがとうございます!そこまで感情移入していただけるとは光栄です!これからも頑張ります! (2018年3月19日 1時) (レス) id: a3077fa68a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アオト | 作成日時:2016年12月18日 1時