11.「うーん、そっか」 ページ12
焦点が合っているのかそうでないのか、感情を読み取ることが難しい表情の十四松さんは、強張る私を前に「好きな動物は?」と突拍子のない質問を発した。
「えっ、ね、猫です……」
「りょーかい!」
刹那──、ボフッと白煙。
私はただ驚いて口をあんぐり。
やがて煙の中から姿を見せたのは、十四松さんではなく、黄色い瞳の小さな猫だった。
「か、可愛い……」
「でしょー!」
「ぎゃー! 猫が喋った!?」
「だってぼくだもん!」
あっ、なるほど! この猫は十四松さんなのか!
吸血鬼という単語を聞く限り、どうにもコウモリの印象が強いのだけれど、まさかこんなに愛くるしいニャンコに変化するなんて。
「すごいでしょー。これが十四松兄さんの能力なんだよ」
と、得意げにトド松さんは笑った。十四松さんは余程私の反応が面白かったのか、隣で次々と動物やら物体やらに変身している。あの、煙たいな。
その白煙に若干むせ返ってると、トド松さんが「ちなみに……」と意味深な口調に切り替わった。
「ボクは運命を見ることができるんだ」
「運命……? なんか怪しいですね」
「ちょっと! 不審な目はやめてよ! カラ松兄さんが日光に強くて、十四松兄さんが変化できるように、ボクだって特技の1つくらいあるから!」
カラ松さんのあの体質は特技と呼ぶべきなのか。
へー、と返せばトド松さんはまた自慢気味に微笑む。
「試しにAちゃんの運命を見てあげる」
手相でも調べるのかと思いきや、トド松さんは私の目をただじーっと見つめるだけで。おまけに無言なので、私まで言葉を出せずに戸惑ってしまう。なんだこの時間。単純に恥ずかしい……!
そろそろ顔が赤くなるー! と焦り始めた時、ようやく彼は視線を外してくれた。
「うーん、そっか」
「なにが見えたんですか?」
「具体的なことは流石にわからないんだけど、大体の未来は見えたよ」
キリッとした目つきに緊張感が走る。
どうでもいいけどいい加減に十四松さんは変身をやめてほしい。すっごいから煙が。我が家の火災警報器反応しちゃうから。
「Aちゃんは近い将来、大きな壁にぶつかってしまう。それを乗り越えられるかどうかは君の覚悟次第ってとこだね」
「……」
「……」
「……え? それだけ?」
「そうだよ?」
「アバウトすぎませんか?」
「具体的なことはわからないって言ったでしょ」
にしてもだよ!
人生なんて壁だらけなんだから!
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暇人(プロフ) - 泣いた (2018年8月12日 0時) (レス) id: adf691658b (このIDを非表示/違反報告)
サクラ - 結婚してほしい主人公とカラ松くん! (2018年4月9日 15時) (レス) id: 82bd22f655 (このIDを非表示/違反報告)
衿川紗倉 - わああ!最高です!面白かったです!!おまけの更新頑張ってくださいね! (2018年4月5日 11時) (レス) id: b3d6cd4611 (このIDを非表示/違反報告)
金平糖@ラビが大好きリーフパイ(プロフ) - わー!!完結おめでとうございます!!カラ松最高にかっこよかったです!おまけの更新、頑張ってくださいっ!! (2018年3月19日 6時) (レス) id: 942887e5ad (このIDを非表示/違反報告)
アオト(プロフ) - タナトさん» コメントありがとうございます!そこまで感情移入していただけるとは光栄です!これからも頑張ります! (2018年3月19日 1時) (レス) id: a3077fa68a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アオト | 作成日時:2016年12月18日 1時