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01.「結婚してくれ!」 ページ2






……いつものように、私は帰路についていた。

家から近いから──、そんな理由で選んだ甲斐あってか、学校を出てまだわずかだというのに早くも愛しの我が家が見えてくる。

まあ、両親は共働きだから、帰ったところで私を出迎えてくれる人はいないんだけど。


ハァ、と重い溜め息を漏らす。


そして突然だった。

本当に突然だったんだ。


「結婚してくれ!」


──と、目の前に見知らぬ男が現れたのは。


 ◆◆◆


「…………は?」


まず、何を言ってるのかが理解できなくて。数秒ほどポカンと口を開けた私は、さぞかしキモかっただろう。

いやいや、そんなことはこの際どうでもよくて。

彼は誰だ。まるで瞬間移動でもしたかのように不意打ちで眼前に姿を現して、そして謎のプロポーズ。よくよく見たら格好もなんだかおかしい。えっ? どこの貴族?


情報量の多すぎるその男はまさに異質。


そして私は察した。


──この人、変態だぁぁぁ!


そういえば学校近辺に不審者がいるって先生が言ってた! さてはこいつだな!?

とにかく逃げろ! と脳内で警鐘が鳴り響く。私は一気に体を反転させ、力一杯に地を蹴り走り始めた。

途端に後方から戸惑いの声が聞こえる。


「えっ!? ま、待ってストップストップ!」

「ぎゃー! 追いかけてこないで!」

「なら逃げないでくれ!」


タッタッタッ、と足音。

振り返りそうになりながらも、私はとにかく学校を目指して走った。すると男は諦めたのか、気づけば背後の足音は消えていて、今は私の荒い呼吸音だけが耳に入る。


「……はぁっ、怖かった……」


うん。我ながら偉いと思う。あの状況下ですぐに“逃げる”という判断を下せる人間はそうそういないよ。

乱れる心拍数を整えるべく、再び歩き始めた刹那──、地面に私の影とは別の、妙な影が一つ映り込んだ。

それは上の方でユラユラと揺れている。

ごくり、唾を飲んだ。

そして私は視線を上げる。


「オレは君を愛してるんだ。さあ、結婚しよう」


──彼の背中には、真っ黒な羽が生えていた。




(どうか、悪夢でありますように)



 

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設定タグ:おそ松さん , カラ松 , 夢小説   
作品ジャンル:アニメ
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暇人(プロフ) - 泣いた (2018年8月12日 0時) (レス) id: adf691658b (このIDを非表示/違反報告)
サクラ - 結婚してほしい主人公とカラ松くん! (2018年4月9日 15時) (レス) id: 82bd22f655 (このIDを非表示/違反報告)
衿川紗倉 - わああ!最高です!面白かったです!!おまけの更新頑張ってくださいね! (2018年4月5日 11時) (レス) id: b3d6cd4611 (このIDを非表示/違反報告)
金平糖@ラビが大好きリーフパイ(プロフ) - わー!!完結おめでとうございます!!カラ松最高にかっこよかったです!おまけの更新、頑張ってくださいっ!! (2018年3月19日 6時) (レス) id: 942887e5ad (このIDを非表示/違反報告)
アオト(プロフ) - タナトさん» コメントありがとうございます!そこまで感情移入していただけるとは光栄です!これからも頑張ります! (2018年3月19日 1時) (レス) id: a3077fa68a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:アオト | 作成日時:2016年12月18日 1時

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