03 ページ5
「おい」
おっさんの声に、部下とおぼしき人間が大きめのスーツケースを差し出す。なんだかんだ言って現金持ってたんだ、と考えたのは賭けを提言して３分後だった。
あと２分。
──バンッ。
突然、遠くの方から聞こえてきた銃声と悲鳴。
そしてその直後、カジノ内の照明が消えた。
「な、なんだ！？」
「どっかの輩が敵対してる組織を潰しに来たんですよ。ほら、向こうにいるゴッツイおじさん」
ふふっ、と鼻で笑いながら指をさす。
その先には西洋人特有の肌に深いシワの刻まれた、白髪混じりのおじさんがいて。無駄に気品があるもんだから見かけだけじゃマフィアだと到底思えない。むしろ紳士と呼ぶ方がお似合いだ。
「あの人、ここ最近格段に勢力を伸ばしてるっていうスクアーロファミリーのボスですよ」
スクアーロさんも大変だね。たまたまバカンスでやって来た日本で命を狙われるなんて。
「いやぁ、怖いですねマフィアって」
「なに呑気なこと言ってるんだ！」
「……流れ弾には注意しないと」
絶え間無くカジノ内を飛び交う銃弾。暗闇に慣れた目で、間違いなくここで抗争が起きているのだとわかった。
一体どこのバカが攻めて来たんだか。
迷惑極まりないよ。
──バァンッ！
近くで鳴った耳をつんざく程の大きな銃声。
同時に赤く染まった私の視界。
「……お、まえっ」
ドサリと倒れたのはスクアーロでも私でも無く、今まさに賭けの最中だったおっさんだった。
ああ、もう２分経ったのか。
ついさっきまで私と同じように呼吸していたハズの人間。今はもう屍になってしまったのだけれど。
私は……スーツケースを手に取った。
「賭けは、私の勝ちですね」
５分後に生きてる方が勝ち。
……ごめんなさい。
そして、その場から歩き出した。
「あれ！？ おそ松兄さん違う人撃っちゃったよ！？ 一色Aじゃないもん！」
「まじで？ うわ最悪。一旦引き返すぞー。多分もう逃げられた」
「えー、せっかくいいとこだったのに」
背後の会話に、振り向くことなく。
……私が狙いなのか。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 337人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「アニメ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
霧雨。(プロフ) - おそ松がいいです!! あと、この小説とてもおもしろく、毎回楽しく読ませて頂いてます。更新頑張ってください!! (2016年3月7日 22時) (
レス) id: 284b3cefde (このIDを非表示/違反報告)
前夜祭(プロフ) - オチアンケおそ松かカラ松希望です！ (2016年3月7日 16時) (レス) id: 6606c6a7c9 (このIDを非表示/違反報告)
彩音 - おそ松がいいですー！ (2016年3月7日 6時) (レス) id: 4e296d3f49 (このIDを非表示/違反報告)
ルウルウ(プロフ) - オチは一松でオナシャス！あ、でも全松見てみたいかもです…ｗ (2016年3月6日 23時) (レス) id: b3bf073a55 (このIDを非表示/違反報告)
沼の門番松(プロフ) - んー出来れば全松バージョン作ってほしいんですけど、大変だったらチョ、チョロ松を…お、お願いします(OvO) (2016年3月6日 16時) (レス) id: 74d4b89a29 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：アオト
| 作成日時：2016年1月24日 10時
