彼女の場合04* ページ35
僕と一松兄さんで必死にあのクッキーのことを調べたのだが、結局何1つ有益な情報を手に入れることができず、気づけば3日も経っていた。
そして今日も、あの幼児化した兄達を尻目に僕はパソコンを操作する。
「……はぁ」
やっぱりネットにも無いかー。まあ、こんな恐ろしいクッキー……普通は公には出ないよね。
作業が進展しない苛立ちから、自然と溜め息が何度も零れ落ちる。
一体いつになったら戻るのか、どうしたら戻るのか、兎に角こちら側で分かっている情報が少なすぎた。だから余計に不安が募る。
「トド松さん、コーヒー淹れましたよ」
凛とした声が明瞭に聞こえた。
そして、確かにコーヒーの入ったカップが目の前に差し出される。僕はそれを手に取り、声の主を見上げた。
「ありがとう、Aちゃん」
「いえ」
にっこりと微笑むと彼女も同じように笑ったため、ほんの少しだけ気が楽になる。
「では頑張ってください」と、踵を返すAちゃんの腰元に、青と緑と黄色の物体が一斉に抱き着き始めた。言うまでもなく、あの警戒心ゼロトリオだ。
先日Aちゃんが、簡単に見分けられるようにと、3人分の色違いの子供服を買ったので、最初はさっぱりわからなかった彼らの区別が僕でもつくようになった。
だっこ、とせがむのはカラ松兄さん。
おんぶ、とせがむのはチョロ松兄さん。
そして太ももに抱きつくのが十四松兄さん。
「歩きにくいです、十四松さん」
「えー?」
仕方なく、と言うように十四松兄さんを抱き上げ、Aちゃんは足を進める……かと思いきや、今度はだっこしてもらえなかったと言ってカラ松兄さんが泣き始めた。
見るからに困惑するAちゃんは僕にとっても珍しい光景だ。案外悪くないかもしれない。
「か、カラ松さん男の子がそんなに泣いちゃダメですよ?」
「な、んでっ?」
「えっと……よ、弱虫だと思われますから」
「じゃあ泣かなかったらつよいの?」
「そうなると語弊ですね。強者だからこそ男泣きが映えると聞きますし……。ああすみません、少し難しいですよね?」
「俺、つよくなったらママとけっこんする」
げほげほっと勢いよく噴き出したのは僕とAちゃん。こんのクソ松、幼くなってもこうなのか。
「嬉しいです」
そう言って笑うAちゃんは優しさの女神だ。だが、その笑みがあまりにも不意打ちすぎて、思わず頬が熱くなる。
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霧雨。(プロフ) - おそ松がいいです!! あと、この小説とてもおもしろく、毎回楽しく読ませて頂いてます。更新頑張ってください!! (2016年3月7日 22時) (レス) id: 284b3cefde (このIDを非表示/違反報告)
前夜祭(プロフ) - オチアンケおそ松かカラ松希望です! (2016年3月7日 16時) (レス) id: 6606c6a7c9 (このIDを非表示/違反報告)
彩音 - おそ松がいいですー! (2016年3月7日 6時) (レス) id: 4e296d3f49 (このIDを非表示/違反報告)
ルウルウ(プロフ) - オチは一松でオナシャス!あ、でも全松見てみたいかもです…w (2016年3月6日 23時) (レス) id: b3bf073a55 (このIDを非表示/違反報告)
沼の門番松(プロフ) - んー出来れば全松バージョン作ってほしいんですけど、大変だったらチョ、チョロ松を…お、お願いします(OvO) (2016年3月6日 16時) (レス) id: 74d4b89a29 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アオト | 作成日時:2016年1月24日 10時