10 ページ12
四方八方冷たいコンクリートの壁で出来た薄暗い部屋の中。私は松野ファミリー6人の前で、イスに座っていた。
「それで、アナタ達の目的は何なんですか」
「両手足縛られてるのに強気だねー」
おそ松さんのその言葉に、両手の鎖がガチャンと無機質な音を立てる。たかが女相手にここまでするなんて、余程私の力を過剰に見積もっているに違いない。
けらけらと愉快そうに笑うおそ松さんは、「ほらチョロ松」と言って緑の彼を肘で小突く。
への字の口に、私を捉えて離さない黒目。
こういう頭脳派タイプは苦手なんだよね。余計なことまで気付いちゃうから。
「……一色A。君に予知能力があるのかどうか、今ここで教えて欲しい」
そりゃまた率直なことで。
でも、最初に質問したのは私の方だ。
「仮にその能力があるとして、アナタ達は一体私をどうするんですか?」
大方見当はつくけれど、答え合わせという意味で私はそんな質問をした。すると何か考えるようにチョロ松さんは視線を高くして。
人は考え事をするとき上を見るらしい。
「アンタをうちの資金源にする」
チョロ松さんを差し置いて、ドストレートなことを言い放ったのは紫のシャツを着た男性。想定内の動機に幸か不幸か、私は若干喜んでいた。
そしてようやく笑う余裕ができた。
「私を資金源に、ですか。拒否権は?」
「悪いけど無い」
「……なるほど」
「嫌だって言うならここで一生暮らすことになるよ」
本気でね、と向けられたおそ松さんの視線が私に突き刺さる。
……本当はそんなことしないくせに。
なんてセリフが口から出そうになるのを抑え、私は「あの」と声を上げた。資金源以前に、彼らは壮大な勘違いをしているのだ。
「アナタ達は、私を過信しています」
「……初対面なのに?」
と、ピンクのシャツ。
「私じゃなくて、私の"力"を過信してるんですよ」
「力!?」
ここで事前に言っておきたいのが、私はあくまでただの人間だと言うこと。
今までありとあらゆる賭博に勝ってきた私は、いつの間にか予言者だのエスパーだの迷惑極まりないレッテルが貼られていた。
最近では神と呼ぶ者まで現れたのだそう。
だから、この機会に告白しておきたいのだ。
ごくりと生唾を飲み、どこから説明しようか頭を悩ませていると、突然チョロ松さんとピンクさんが私に迫ってきた。
「じ、じゃあ! 予知の存在を認める!?」
337人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「アニメ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
霧雨。(プロフ) - おそ松がいいです!! あと、この小説とてもおもしろく、毎回楽しく読ませて頂いてます。更新頑張ってください!! (2016年3月7日 22時) (レス) id: 284b3cefde (このIDを非表示/違反報告)
前夜祭(プロフ) - オチアンケおそ松かカラ松希望です! (2016年3月7日 16時) (レス) id: 6606c6a7c9 (このIDを非表示/違反報告)
彩音 - おそ松がいいですー! (2016年3月7日 6時) (レス) id: 4e296d3f49 (このIDを非表示/違反報告)
ルウルウ(プロフ) - オチは一松でオナシャス!あ、でも全松見てみたいかもです…w (2016年3月6日 23時) (レス) id: b3bf073a55 (このIDを非表示/違反報告)
沼の門番松(プロフ) - んー出来れば全松バージョン作ってほしいんですけど、大変だったらチョ、チョロ松を…お、お願いします(OvO) (2016年3月6日 16時) (レス) id: 74d4b89a29 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:アオト | 作成日時:2016年1月24日 10時