【あんスタ】髪を切っただけ【日々樹渉】

１７話 ページ18

読唇術って唇の動きで言葉を理解する

ものじゃないですかー。

だからね、どんなに恥ずかしくても

私ずっと渉さんの方向いて喋らなきゃ

いけないんですよー

しかも渉さんも真剣にこっち見つめてるから

あの、なんていうか、

恥ずかしさカンストの境地なんですが！

『ミュージカルの、代役は、誰が？』

私がそう聞くと、渉さんは

少し困った顔をした。

「めいみさんが」

めいみが....

『そう、なんですね。

今度、めいみに、謝らないと』

私が笑ってそう言うと、

渉さんは少し寂しそうに笑った。

その笑顔の意味が、私にはわからなかった

『渉さん、元気無い、ですか？』

私が不安になってそう聞くと、

渉さんは私の頭を撫でた。

「Aさんに会えたので、元気ですよ」

その言葉に、思わずドキリとしてしまう。

『私も....

渉さんに会えて、、嬉しいです』

私は俯きがちになって、

思わず早口でゴニョゴニョ言った。

「すみません、読み取れませんでした。

もう1度言ってもらえますか？」

渉さんはそんなふうに言ったけど、

私は笑って首を振った

『いえ、何でもないんです』

「そうですか。

Aさんの言葉を聞き逃してしまうなんて

あぁ、なんという失態でしょう....」

渉さんはうなだれながらそう言った。

でもごめんね。

恥ずかしすぎて、

もう１回は言えそうにない。

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