*終・白 ページ49
「な、んで?」
私の口から零れた言葉は頼りなく震えていて、体も酷く震えていることを自覚した。
「なんで?…ふん。そんなの決まってるじゃない。邪魔だったからよ。昔、貴方が真っ白人間ってだけで稼げなかった分は私が必死になって稼いだのよ。なのに、親父は貴方のことばかり可愛がって、私のことはいつもほったらかし。今の踊りだって物珍しさで売れてるだけでいつかは飽きられるってわかってるはずなのに、それでも良いってぬかしたのよ、この親父は。」
そう言った姐さんは、苛立たし気に物言わぬ体となった親父さんを蹴り転がした。
「それに、最近、貴方のことを欲しがる物好きが結構いてね。その中に結構な金額をくれるっていう話もあったのに、親父は断固として断ってたの。貴方に多少の傷がついても気にしないっていう話もあったから、邪魔な親父には消えて貰って、私はそのお金で悠々と暮らすことにしたのよ。まぁ、護衛を雇うなんて予想外だったけど、あの人数差じゃ手も足も出ないでしょうね。」
「誰の手が出ないって?」
聞きなれた声が聞こえた瞬間、一閃が走り、刀を引っ提げていた男が真っ二つに分かれた。
その目にもとまらぬ早業に腰を抜かした姐さんの喉元には、刀の切っ先がピタリと当てられている。
「ひぃっ!」
「ねぇ、Aは、この女をどうしたい?」
「……。」
「僕としては、斬っちゃう方が面倒がなくていいと思うんだけど。」
姐さんがそんな風に思ってたなんて知らなかったけど…正直、何が何だか分からないけど…姐さんが死んでしまうのは嫌で…フルフルと頭を横に振った。
「そっかぁ〜…じゃあ、僕と一緒にどっか遠くに逃げよっか。」
にっこりと笑った小次郎さんは、姐さんには一瞥をくれること無く刀を鞘に戻し、私に手を差し出してきた。
――日本のとある場所にて
「そういや、知ってるかい? あの噂。」
「え? 何のことだい?」
「ほら、真っ白人間はどっかで生きてるって噂だよ。」
「あ〜あれね。真っ白人間は一緒に姿を消した剣士と一緒に仲睦まじく暮らしてるってやつ? どうせ、法螺だろ。」
「それが、本当らしいんだよ。」
「嘘つけぇ。」
「嘘じゃねぇって。俺の姉貴の旦那が偶々見たんだと。剣士と仲睦まじそうに歩いてる市女笠を被った女が真っ白な肌と淡青の瞳だったのをよ。」
「見間違いじゃねぇのかぁ?」
――――
ちょっと(?)重た目で甘くないお話になりました。
なぜこうなったのか、自分でも何とも言えません…。
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仙麗(プロフ) - 苺恋姫さん» 無事、続編へ移行させていただきました。いつもコメントやリクエストいただきありがとうございます。励みになります! (2021年5月11日 15時) (レス) id: c4c63c64ef (このIDを非表示/違反報告)
苺恋姫(プロフ) - 続編待ってます!頑張って下さいp(^^)q (2021年5月8日 22時) (レス) id: 0337b4f0d4 (このIDを非表示/違反報告)
仙麗(プロフ) - こちらこそありがとうございました。ご期待に副うことが出来たようで良かったです。今後とも『戦国書簡』をよろしくお願いします。 (2021年4月11日 17時) (レス) id: c4c63c64ef (このIDを非表示/違反報告)
苺恋姫(プロフ) - 書いていただき本当にありがとうございました!(*^^*)充分甘かったと思いますよ!応えていただいてありがとうございます!m(__)mこれより甘い話を…っていう時はまたリクエストする時に頼ませていただきます!(^^)/充分胸キュンしたのでお気遣いありがとうございます! (2021年4月10日 22時) (レス) id: 0337b4f0d4 (このIDを非表示/違反報告)
苺恋姫(プロフ) - いつもリクエストに応えていただいてありがとうございます!(*^^*)アンケートの「応援されてみた」でも、悩みが吹き飛んでいくような気がしましたp(^-^)q書いていただき本当にありがとうございます!(*^^*)これからも無理なく、頑張って下さい!q(^-^q) (2021年4月5日 14時) (レス) id: 0337b4f0d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:仙麗 | 作成日時:2021年1月12日 17時