*續・白 ページ48
ある日―
親父さんに呼ばれて部屋に行ってみると、親父さんと知らない男性がいた。
よくよく見ると、その男性は、真っ白な面に赤い紅をさした、珍しい見た目をしている。
「あの、その人は?」
「あぁ、君が噂の真っ白人間さんだね。僕の名前は佐々木小次郎。」
私の問いかけに応えた男性は、ゆっくりと私の全身を眺めたようだ。
「ふぅん…僕とは違う理由で白いんだね。ま、これからよろしくね。」
「え、と…どういうことですか?」
「佐々木様には、お前の話し相手をしてもらうことになったんだよ。」
「そうそう。君は自分が思ってるより魅力的ってこと。」
そう言うと、彼はパチリと片目を瞑った。
だけど、私は訳が分からず、首をかしげることしか出来なかった。
それから小次郎さん(本人からそう呼んで、と頼まれた)は、私の話し相手として一緒に生活するようになった。
これまで限られた人としか話したことが無い私にとって、彼のお話はとても刺激的で面白くて夢中になるものだった。
ただ、時折、ふらりと何処かへ出かけて行ってしまうことがある。
その理由を尋ねてもはぐらかされてよく分からない。
だけど、その理由を教えてもらえなかったのは、彼なりの優しさだということを後の私は知ることになる。
その日も舞台は大盛況。
私が一礼し、舞台上を去ろうとした瞬間、鈍く光るものを携えた男達が打ちかかってきた。
「きゃぁぁ!」
「君たちの相手は、この僕だ。」
私や客達の悲鳴の中、初撃を打ち払った小次郎さんが男達に対峙する。
一人で立ち向かうには多勢に無勢で、無茶が過ぎると言おうとした私の雰囲気を察したのか、彼は有無を言わせず私を舞台袖に追いやった。
私はその勢いのまま走り出した。
男達の中に黒子の格好をしていた人がいたから、恐らく本来の黒子達はもう既にこと切れているのだろう。
狙いが私だけとは限らないし、私が頼れる存在は親父さんと姐さん以外にいない。
急ぐあまりに絡まる足を何とか動かして、なんとか親父さんの部屋に飛び込んだ。
そして、私が目にしたのは、血が滴る刀をぶら下げた男と血だまりに沈む親父さんを冷たい目で見降ろす姐さんだった。
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仙麗(プロフ) - 苺恋姫さん» 無事、続編へ移行させていただきました。いつもコメントやリクエストいただきありがとうございます。励みになります! (2021年5月11日 15時) (レス) id: c4c63c64ef (このIDを非表示/違反報告)
苺恋姫(プロフ) - 続編待ってます!頑張って下さいp(^^)q (2021年5月8日 22時) (レス) id: 0337b4f0d4 (このIDを非表示/違反報告)
仙麗(プロフ) - こちらこそありがとうございました。ご期待に副うことが出来たようで良かったです。今後とも『戦国書簡』をよろしくお願いします。 (2021年4月11日 17時) (レス) id: c4c63c64ef (このIDを非表示/違反報告)
苺恋姫(プロフ) - 書いていただき本当にありがとうございました!(*^^*)充分甘かったと思いますよ!応えていただいてありがとうございます!m(__)mこれより甘い話を…っていう時はまたリクエストする時に頼ませていただきます!(^^)/充分胸キュンしたのでお気遣いありがとうございます! (2021年4月10日 22時) (レス) id: 0337b4f0d4 (このIDを非表示/違反報告)
苺恋姫(プロフ) - いつもリクエストに応えていただいてありがとうございます!(*^^*)アンケートの「応援されてみた」でも、悩みが吹き飛んでいくような気がしましたp(^-^)q書いていただき本当にありがとうございます!(*^^*)これからも無理なく、頑張って下さい!q(^-^q) (2021年4月5日 14時) (レス) id: 0337b4f0d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:仙麗 | 作成日時:2021年1月12日 17時