短編:酔い(真・三國無双 徐晃) ページ43
春月が柔らかに照らす夜―
「皆の者、ご苦労であった。今宵の宴を楽しむがよい!」
豪華絢爛たる宴の始まりは、曹操様の音頭によって行われる。
その開始早々に私は酔っぱらって、綺麗さっぱり記憶が飛んじゃうのがいつものお決まり。
下戸の癖に酒好きっていう面倒な性格してる私がいけないんだけどさ。
そんなこんなで、今夜も早々に離脱することになりそうだなぁ。
そして、面倒な酔っぱらいの私を家まで送ってくれるのが、徐晃なのもお決まりなんだ。
何でなのかをいろんな武将たちに訊いてみたけど、皆はぐらかして教えてくれないんだよね。
まぁ、私は酔っぱらうと鬱陶しいほどに絡むらしいから、他の人が嫌がって役目を徐晃に押し付けてるんじゃないかって、密かに疑ってたりするんだけど。
no side
月の淡い光が、ふらふらと彷徨う影とそれを支える影を映し出す。
「でさぁ、そぉそぉ様はさぁ、私に言ったわけ、二喬を手に入れる算段をつけよぉって。でもさぁ、どう考えたって無理じゃん。そぉそぉ様でも出来ないこと私にできるわけないじゃんねぇ〜。ねぇ?」
「そうでござるな。」
専ら彷徨う影が話しかけ、もう一つの影は一言返事を返すだけである。
それが崩れたのは、唐突な問いかけであった。
「じょこぉはさ〜好きな人とかいないの〜?」
「……」
「ねぇ〜聞いてるぅ?」
「…しかと拝聴しておる。Aの言葉を聞き逃すことはござらん。」
「そぉ? ん〜…なら何で、私がさっき言ったことを無視したの〜?」
「それは…。」
「教えてくれないとぉ、私、もうじょこぉと話さないもん!」
「…なッ!」
ぷいっと一つの影がそっぽを向くと、もう一つの影が大きく揺れる。
そして、僅かに時が流れた。
「……拙者が懸想する御仁は…目の前にいるでござる。」
「えぇ〜それってぇ、私のことぉ?」
一つの影がこくりと頷く動きに応じて、二つの影は近づいていく。
「そっかぁ〜私もじょこぉのこと、すきぃ…。」
一つの影が崩れ落ち、もう一方が慌てて支える。
「…お眠りになられたか。だが…そうか。」
少し嬉しそうに呟きを溢し、影を背負って歩く漢を見守るのは優しい月だけであった。
翌日―
「ねぇ、徐晃。私たちが一緒にいると、皆、生暖かい目で見てる気がするんだけど…?」
「…気のせいでござろう。」
漢の胸中にAが気づくまで、あと――。
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仙麗(プロフ) - 苺恋姫さん» 無事、続編へ移行させていただきました。いつもコメントやリクエストいただきありがとうございます。励みになります! (2021年5月11日 15時) (レス) id: c4c63c64ef (このIDを非表示/違反報告)
苺恋姫(プロフ) - 続編待ってます!頑張って下さいp(^^)q (2021年5月8日 22時) (レス) id: 0337b4f0d4 (このIDを非表示/違反報告)
仙麗(プロフ) - こちらこそありがとうございました。ご期待に副うことが出来たようで良かったです。今後とも『戦国書簡』をよろしくお願いします。 (2021年4月11日 17時) (レス) id: c4c63c64ef (このIDを非表示/違反報告)
苺恋姫(プロフ) - 書いていただき本当にありがとうございました!(*^^*)充分甘かったと思いますよ!応えていただいてありがとうございます!m(__)mこれより甘い話を…っていう時はまたリクエストする時に頼ませていただきます!(^^)/充分胸キュンしたのでお気遣いありがとうございます! (2021年4月10日 22時) (レス) id: 0337b4f0d4 (このIDを非表示/違反報告)
苺恋姫(プロフ) - いつもリクエストに応えていただいてありがとうございます!(*^^*)アンケートの「応援されてみた」でも、悩みが吹き飛んでいくような気がしましたp(^-^)q書いていただき本当にありがとうございます!(*^^*)これからも無理なく、頑張って下さい!q(^-^q) (2021年4月5日 14時) (レス) id: 0337b4f0d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:仙麗 | 作成日時:2021年1月12日 17時