短編：薬（戦国BASARA 徳川家康） ＊カルファ様リクエスト ページ2
no side
枯れ葉舞い散る季節―
ゴリッ ゴリッ ゴリッ
薬研を使う音と擦り潰される生薬の香りが充満する部屋。
そこにいるのは、徳川家の当主・徳川家康、その人である。
そして、彼の口元には誰かを想っているかのような柔らかな笑みが浮かんでいる。
「よし。完成だ。Aの元へ届けるとするか。」
そう言って何処かへ行く彼の足取りは、僅かに弾んでいるようだった。
☆
A side
「A、ワシだ。入っても良いだろうか？」
私が了承の返事をするとすぐに入ってきた彼は、家康様。
前回の戦で怪我を負った私に、彼自ら薬を調合してくれるのは優しさによるもの。
確かに彼は臣下や民のことをよく考えてくれる良い主君だ。
ただ、その敬愛する主君に薬を頂いているのは、申し訳ないのも事実。
そのことを以前伝えた時には、気にしなくて良いって笑い飛ばされたけどね。
「いつもありがとうございます。家康様のお薬のお蔭で、随分元気になりました。」
「そうか。それは良かった！」
ニカッと白い歯をこぼしながら笑う彼の笑顔は、日輪のように明るくて、私には少し眩しいくらい。
その笑顔のお蔭で、私は何回も救われているような気もする。
だけど、最近は彼の笑顔を見ると、少し胸が苦しくなる…なんでだろ？
「A？ どうした？ 具合が悪いのか？」
おっとと…思考を飛ばしている場合じゃない。
「いえ、大丈夫です。」
「そうか…？」
少し疑われてるみたいだけど、本当に体は何も問題は無いんだよね。
心の問題だから、いかに家康様の薬でも治せないしね。
しばらく他愛無い雑談をしていると、廊下から侍従の声が聞こえた。
「あぁ、ワシはそろそろ戻らなくては。」
「執務、頑張ってください。」
そう言って立ち上がる彼に、私はありきたりな言葉しか返せない。
だけど、そのまま去っていく筈の彼は何か思い出したように途中で振り返り、私の方に歩いて来た。
そして、目前まで彼が迫ってきたことに驚いた私が目を瞑った次の瞬間、何か柔らかく温かいものが唇に触れた。
「…！」
「薬だ。」
そう一言残して、今度こそ彼は立ち去って行った。
残された私の頬は熱くて、胸は苦しくて、まともに思考もできない…。
こんなの…苦い薬ではなく、甘い毒…。
――――――――――
カルファ様、リクエストありがとうございます！
少しは甘くなってますか…？
「もっと改善を！」などありましたら教えてください。
今後とも『戦国書簡』をよろしくお願いします。
山で遭難してみた（戦国無双）→←好きと言ってみた（真・三國無双）
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 23人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
仙麗(プロフ) - 苺恋姫さん» 無事、続編へ移行させていただきました。いつもコメントやリクエストいただきありがとうございます。励みになります！ (2021年5月11日 15時) (
レス) id: c4c63c64ef (このIDを非表示/違反報告)
苺恋姫(プロフ) - 続編待ってます！頑張って下さいp(^^)q (2021年5月8日 22時) (レス) id: 0337b4f0d4 (このIDを非表示/違反報告)
仙麗(プロフ) - こちらこそありがとうございました。ご期待に副うことが出来たようで良かったです。今後とも『戦国書簡』をよろしくお願いします。 (2021年4月11日 17時) (レス) id: c4c63c64ef (このIDを非表示/違反報告)
苺恋姫(プロフ) - 書いていただき本当にありがとうございました！(*^^*)充分甘かったと思いますよ！応えていただいてありがとうございます！m(__)mこれより甘い話を…っていう時はまたリクエストする時に頼ませていただきます！(^^)/充分胸キュンしたのでお気遣いありがとうございます！ (2021年4月10日 22時) (レス) id: 0337b4f0d4 (このIDを非表示/違反報告)
苺恋姫(プロフ) - いつもリクエストに応えていただいてありがとうございます！(*^^*)アンケートの「応援されてみた」でも、悩みが吹き飛んでいくような気がしましたp(^-^)q書いていただき本当にありがとうございます！(*^^*)これからも無理なく、頑張って下さい！q(^-^q) (2021年4月5日 14時) (レス) id: 0337b4f0d4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：仙麗 | 作成日時：2021年1月12日 17時
