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「A」
「はい?何か用事でしょうか?」
「こっち来て」
病室に戻って君の様子を見に行くと君は先程のように炭治郎や玄弥の面倒を見ていた。それを見て相変わらず僕の中で黒いものが渦巻き、ちくりと刺されるような痛みがする
だけど、その原因を知ったから、もう何も恐れなかった
「あの……どうかしたんですか?」
君の腕を引っ張って、屋敷の人気の無い所へ連れて行った。君は僕をじっと見つめた
「君さ、昨日言ってたよね、この仕事向いてないかもって」
「はい。でも霞柱様が向いてるって言って下さったので頑張れそうです!」
「…そっか、それは良かった。……ね、わがまま言っていい?」
「はい、霞柱様のお願いだったら何でも」
腕を掴んでいた手を君の手に移動させて、優しくそっと手を握った
すると君はそれだけでみるみるうちに耳まで赤くなって、元々大きな瞳を見開いて、無意識だか分からないけど上目を使って僕を見つめた
普通女の子ならこうなった時手を振り払ってとっとと逃げた方が最適なのに、優しい君はそのまま固まって、まるで時が止まったみたいだった
それに君は押しにも弱そうだ。必死に頼み込んだら何でも許してくれそうで、そんな所が弱かった
_今だけは、その優しさと弱さを利用したいなんてずるい僕は思ってしまった
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作者名:あんもないと | 作成日時:2020年3月14日 18時