七色幸せ笑話【短編集】 (ページ13)

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それを機に、私は部活を引退して、受験勉強に専念する事にした

安田くんがたまに

「今日も横山先輩、来てましたよ？」

って報告に来てくれたけど、あの日、逃げてしまった手前、どんな顔をして横山くんと会えば良いのかもわからず、彼を避ける日が続いていた

荒らされた花壇は、後輩たちが整備してくれて、今では、綺麗な花を咲かせている

そんな、花が見頃な季節

「A、また連絡するね？」

「うん、わかった。またね」

私は、卒業式を迎えた

進学先が違う友達と、別れを惜しみながら校舎を出ると

「原田先輩っ」

園芸部の後輩に、声をかけられた

「うん？どうした？」

「あの。安田先輩が、原田先輩に見せたいものがあるから、裏庭の花壇に来て下さいって、言ってました」

「そう…ありがとう」

裏庭の花壇は、人目につかない所にあって、私達もそこの世話はしていない。雑草だらけの花壇のはずなのに、『見せたいもの』って何だろう

いつぶりかもわからない裏庭に、到着したら

「………綺麗」

荒れ放題だった花壇は、ピンク色を基調とした可愛らしい花壇に変わっていて、そこに置かれた、1枚のメッセージカード

『A先輩へ、僕からの卒業祝いです。幸せになって下さいね』

「ふふっ…」

なんか、安田くんらしい

そう思いながら、どこかに隠れているであろう、彼の姿探していたら

「……原田さん」

私のことを呼んだのは、安田くんじゃなくて

「横山くん？」

横山くんだった

「どうしたの？こんなとこで」

「いや。原田さんとは、ちゃんと話しとかなアカンと思って」

「……うん」

「まずは、あん時は本当にすまんかった」

「………うん」

「安田くんに聞いたんやけと、あの花壇、写真撮ってコンテストに送るはずやったって」

「あぁ……」

「安田くんの見立てやと、結構良い賞狙える出来やったって」

「そんな事は……ないよ」

「でも、原田さんの自信作やったんやろ？」

「そ…だね」

「ごめんな？」

「いいよ、もう。終わった事だし、安田くん達が来年頑張ってくれるし」

「……そっか」

「こんな可愛らしい花壇作れるんだもん。来年のコンテストだってきっと…」

「あのさっ」

「ぅん？」

「この花壇。俺が……作ってん」

「えっ？」

「ひとりで…ってわけやないけど、安田くんにアドバイスもぉて、俺が作った」

「横山くん…が？」

「おん。原田さんに見て欲しくって」

「私……に？」