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25(Fside) ページ25

「藤ヶ谷…」





耳元で俺を呼ぶ北山の小さな声





「ん?」





スタッフに聞こえないように俺も小さく答えた





「ごめんな…」

「…あんまり心配させんな。」

「うん…」

「落ちたって聞いた時は、心臓止まるかと思った。」

「ごめん。」

「一人で頑張り過ぎんなよ。…俺がいるだろ。」

「藤ヶ谷…」





小さな背中に大きな荷物背負って、いつも全力で突っ走ってるお前をずっと見てきた

誰の手も借りずに頑張る姿をすげぇって尊敬しながらも、ずっとどこかで心配してたんだ





俺の胸の前でギュッと組まれた小さな手を握りしめたくなる

その想いを押さえる様に、空を見上げた





すっかり暗くなった空には大きな丸い月





「……北山」

「ん?」

「……月が…綺麗ですね…。」





最近読んだ文学小説

本が好きな北山なら…俺の想い、気付いてくれるだろうか…





長い沈黙の後、小さく耳元で囁いてくれた言葉





「……ありがとう。」





北山がどういう気持ちで言ったのか、俺には分からなかったけれど

優しい声にキュンと胸が締め付けられた





やっぱり…俺は北山が大好きみたいだよ





広場に帰ると渉もちょうど戻って来ていて…

俺の背中に乗る北山を見ると、顔を青くして駆け寄ってきた





「ミツっ!」

「ごめんね、横尾さん、心配かけちゃって…」

「どうした?怪我したのか?」

「木から落ちたんだよ。」

「はぁっ?!」

「でも、全然大丈夫なんだよ?ちょっと腰打っただけだし…」





渉が何か言いたげに俺をチラリと見たけれど、何も言わずに北山の体に手を添えた





「…とにかく傷見せて。」





俺の背中から降りた北山は大人しく服を捲って、渉に見せている





「…っ…」





渉がそっと触れると顔を顰めた北山

腰と足が赤くなっていた





「痛い?…ここ擦り剥いてるよ。」

「マジ?やだなぁ、子供みたい(笑)」

「足首も少し腫れてるっぽいよ…」





スタッフに救急箱を借りて、手際よく処置をする渉

その雰囲気に俺は手を出すことが出来なかった





「ありがとね、横尾さん。」





渉に笑顔を向ける北山





胸が苦しい…





きっと気付かないうちにしかめっ面になっていたんだろう





「藤ヶ谷、ありがとな。藤ヶ谷の背中…なんか…すげぇ安心した」





俺を気遣って言ってくれた北山の言葉が嬉しくて、思わず泣きそうになった






.

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作者名:MISA | 作成日時:2015年9月14日 21時

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