第五十三話 タイムリミッツ ページ10
――目を覚ますと、慣れ親しんだシーツの海に身を任せていた。
紅葉先生が運んで下さったのだろうか。
ああ、後でお礼を言いに行かなければ。
焦りつつも、どこか冷静な脳で日課の毒入りコーヒーを頂く。
現へ還ってきた様なこの感じが堪らない。
――あと、“一週間”。
そのタイムリミットを過ぎれば、晴れて十三歳。
全く嬉しくない。
だが、一度は首領を避けた身だ。
このままひっそりと
――でも、それすら、できないほどに。
首領を、愛してしまった。
ともすれば、やることは一つ。
愛され続けるためには――
―――――――――――――――――――――――――…
「あと一週間じゃないか」
「今更よ、リンタロウ」
何気なくカレンダーにバツをつけていると、ふと気が付いた。
「どうしようエリスちゃん!
何をあげたら喜んでもらえるかな?!」
「“リンタロウが欲しいもの”なら、正解なんじゃない?」
貰ってうれしいモノをあげる。
プレゼントのセオリーだ。
でも、きっと饅頭茶漬けを貰ったところで……
「首領」
扉が開く音と同時に話の話題にしていた人物の声が響く。
聞かれたか、と慌てて視線を向ければ。
Aちゃんは短刀を構えていた。
その決意に満ちた目は――
――“あの時”を、彷彿させた。
その視線にゾクゾクと震えが走る。
あまりの感覚に腰を抜かしそうになりつつ、平穏を装う。
「何の用かな? Aちゃん」
「お願いがあります、首領」
お願い?
思わず片眉をあげ、復唱して聞き返す。
「……はい。 他でもない、首領に。
私を殺して、欲しいのです」
(地下 物語)
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臣民(プロフ) - みぃさん» ここまで閲覧して頂き、誠に有難う御座います! 私が書く森さんはただでさえぶっトんでいるのに次回作は更にそれを加速させそうです(苦笑) 少女漫画の様にまたキュンキュンとさせられることを目標に、頑張ります! (2018年7月16日 13時) (レス) id: d39d595e1e (このIDを非表示/違反報告)
みぃ(プロフ) - 幸せな終わり方でしたね!! キュンキュンしました! 次回作楽しみにしています! 完結お疲れ様でした! (2018年7月16日 7時) (レス) id: d688bcfef3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:臣民 | 作成日時:2018年5月27日 18時