第十九話 オルタンス ページ21
――薄っすらと目を開けて、鳥の鳴き声を聞く。
のっそりと上半身を起こせば、いつも通り薄暗い自分の部屋。
締め切ったカーテンの下から漏れ出る日光が“起きろ”と私を促す。
――ああ、そうだった。
昨晩、中也様に色仕掛けをして。
片思いなのが皆にばれていると言われ、捨てられると言われ――
――ああ、そうだった。
そのまま放心状態のまま自室のベッドで寝たのだ。
寝て、逃げて、その言葉を忘れようしたのだ。
それが防御機制の逃避と知ってか、知らずか。
ゆっくりと起き上がり、玄関に向かう。
扉には猫用出入り口の様な枠が空いている。
普段ならば夜のうちに、そこに仕事の内容が書かれた紙が
いくつか入っているものだが――
「ない……」
紅葉先生に騙されたのだろうか。
否、これから来るはずだきっとそうに違いない。
心の奥底で失望しながらも、紅葉先生を信じ続けることしか
今は、できないのだ。
玄関は用無しと分かった今、背を向けコーヒーを作りにキッチンへ向かう。
湯を沸騰させ、ペーパーフィルターにコーヒー粉を入れ、
蒸らし抽出する。 そして――
致死量をはるかに超える毒を入れ、
目を閉じてゆっくり味わう。
喉の奥を熱い液体が通って行く。
身体の中心から熱を帯びて行く感覚に気持ち良さを覚える。
一つ息を吐いて目を開ければ、脳はすでに覚醒状態だ。
もう少し毒を増やしても良かったのでは、と反省する。
私は、毒を少しずつ飲み、長い長い時間をかけて耐性を鍛えていった。
万が一にでも、誤って毒を飲んだ時の対策として。
幸いなことに、今だにその機会に出会ったことは無い。
(カフェインも毒)
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蒼(プロフ) - 1でお願いします！ 更新頑張ってください！！続き楽しみにしてます！！ (2018年4月8日 21時) (
レス) id: 7443137317 (このIDを非表示/違反報告)
臣民(プロフ) - みぃさん» 原作第五十話に続くような形で書かせて頂きました。二三回読める話をモットーとしておりますので、深く考えていただけたら嬉しい限りです。更新頑張ります！ (2018年4月7日 11時) (レス) id: d39d595e1e (このIDを非表示/違反報告)
みぃ(プロフ) - 最後ので涙がブワッと…エリスちゃぁぁああん！！ 更新楽しみにしています！ (2018年4月5日 16時) (レス) id: d62fbb3902 (このIDを非表示/違反報告)
臣民(プロフ) - ＊*楼椛*＊さん» いえいえ！応援有難う御座います。たっぷりお楽しみください！ (2018年3月26日 20時) (レス) id: d39d595e1e (このIDを非表示/違反報告)
＊*楼椛*＊ - 初コメ失礼します！今日初めて拝見させていただいたのですが、とても面白いです(ありきたりな言葉ですみません) 更新頑張ってください！これからも森さんを楽しみにしてます！←← (2018年3月26日 19時) (レス) id: e7e0abd8b6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：臣民 | 作成日時：2017年10月22日 9時
