検索窓
今日:17 hit、昨日:3 hit、合計:142,974 hit

第十四話 先生 ページ16

――白い天井を視界に捉える。

ぼんやりと流れる記憶を辿り、寝具に横になっている経緯を理解した。

天井の色、清潔感溢れるニオイ。
此処はポートマフィア内の一角にある病室だろう。

ゆっくりと視線を天井から横へ移していくと、人がいた。
その人は椅子に座り、手にしている本を静かに捲り、ふと此方に気付く。


「気がついたかえ?」


パタリと本を閉じるその人物を認識するや否や、すぐさま上半身を起こす。


「せ、先生……!」


私には2人の師匠(せんせい)がいる。
今、出会ったのは“喋る方の師匠”。

もとい、尾崎紅葉先生。

銀師匠からは戦闘術。
紅葉先生からは演技術を習っている。

ターゲットを人気の無い場所に誘き出すには、
都合が良いだからだ。


――その後、逃がさなければ私は……!


ふつふつと怒りが湧いてくる。


「しかし、()いたぞ。
 手合せ中に倒れたのであろう?」


そのことに、疑問がある。


「……どうして銀師匠では無く紅葉先生がいるのですか?」


質問を投げかけると、「それはのう」と流暢に答える。


「何でも仕事が入ったとかで、頼まれたのじゃ」


にこりと微笑むが、次の瞬間には無表情になっていた。


「…………あまり、無理はしてくれるな。
 傷ついた弟子(せいと)を心配するのは師匠(せんせい)だけでは無い故」


椅子から立ち上がり私の頭を撫でる。
あの人とは違った別の温もりが伝わる。


 


(それもまた心地よい)

第十五話 偽善→←第十三話 抑圧



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (164 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
290人がお気に入り
設定タグ:文豪ストレイドッグス , 森鴎外   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

(プロフ) - 1でお願いします! 更新頑張ってください!!続き楽しみにしてます!! (2018年4月8日 21時) (レス) id: 7443137317 (このIDを非表示/違反報告)
臣民(プロフ) - みぃさん» 原作第五十話に続くような形で書かせて頂きました。二三回読める話をモットーとしておりますので、深く考えていただけたら嬉しい限りです。更新頑張ります! (2018年4月7日 11時) (レス) id: d39d595e1e (このIDを非表示/違反報告)
みぃ(プロフ) - 最後ので涙がブワッと…エリスちゃぁぁああん!! 更新楽しみにしています! (2018年4月5日 16時) (レス) id: d62fbb3902 (このIDを非表示/違反報告)
臣民(プロフ) - **楼椛**さん» いえいえ!応援有難う御座います。たっぷりお楽しみください! (2018年3月26日 20時) (レス) id: d39d595e1e (このIDを非表示/違反報告)
**楼椛** - 初コメ失礼します!今日初めて拝見させていただいたのですが、とても面白いです(ありきたりな言葉ですみません) 更新頑張ってください!これからも森さんを楽しみにしてます!←← (2018年3月26日 19時) (レス) id: e7e0abd8b6 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:臣民 | 作成日時:2017年10月22日 9時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。