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第八話 風をいたみ ページ10

――扉が閉まる。
“彼女”の姿が見えなくなったところで、そっと椅子に腰かける。


「男の嫉妬は見苦しいものだねえ……」


正直、私は彼女を好いてはいない。
否、彼女のやり方が気に喰わないのだ。

彼女は確か、刃物の扱いは非常に優れていたはずだ。

だがいつからか、効率を重視してなのか
“接吻”などという方法を取り始めた。

接吻とは、恋人同士が愛を確かめるために行う行為である。
しかし、彼女は恋人でもない相手と“息を吸うように”接吻を行う。

それが非道(ひど)く気に入らない。


「だから、Aに仕事を与えない……
 つまり、他人と接吻させないようにしたんでしょ」


声の主の方を振り向くと、黄金髪を揺らがせる少女が立っていた。


「エリスちゃん!」
「リンタロウも恋人じゃあないのに、変なの」


――変なの。


「私は変なのかい?」
「とっても」
「非道い! でも、可愛いから許す!」


こんな会話はいつも通りである。
――だが。

恋人ではない、これは事実だ。


「まどろっこしいからもう“好き”って言えばイイ」
「うーん、でも……」


こんな中年を好いてくれているのだろうか。


――あの子の考えていることが分からない。


彼女は私を好きなのだろうか。
ただ、首領というだけで私を慕ってくれているのか。

与えられているモノは忠誠心なのか。

マフィアに所属するという正体不明の恐怖心からくる“ソレ”なのか。


 


(嗚呼、分からない)

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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 森鴎外   
作品ジャンル:アニメ
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(プロフ) - 1でお願いします! 更新頑張ってください!!続き楽しみにしてます!! (2018年4月8日 21時) (レス) id: 7443137317 (このIDを非表示/違反報告)
臣民(プロフ) - みぃさん» 原作第五十話に続くような形で書かせて頂きました。二三回読める話をモットーとしておりますので、深く考えていただけたら嬉しい限りです。更新頑張ります! (2018年4月7日 11時) (レス) id: d39d595e1e (このIDを非表示/違反報告)
みぃ(プロフ) - 最後ので涙がブワッと…エリスちゃぁぁああん!! 更新楽しみにしています! (2018年4月5日 16時) (レス) id: d62fbb3902 (このIDを非表示/違反報告)
臣民(プロフ) - **楼椛**さん» いえいえ!応援有難う御座います。たっぷりお楽しみください! (2018年3月26日 20時) (レス) id: d39d595e1e (このIDを非表示/違反報告)
**楼椛** - 初コメ失礼します!今日初めて拝見させていただいたのですが、とても面白いです(ありきたりな言葉ですみません) 更新頑張ってください!これからも森さんを楽しみにしてます!←← (2018年3月26日 19時) (レス) id: e7e0abd8b6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:臣民 | 作成日時:2017年10月22日 9時

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