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第二十六話 解き問う質問劇場 ページ28

「……初めに、私の命を狙うモノは沢山いる。
 だが、汝からはどこか懐かしい匂いがする」


目の前で展開される彼の質問劇。
どう答えようか、いっそ舌を噛み切って――


「汝はポートマフィア構成員か?」


突然核心を突かれ、肩が無意識に揺れる。


「どうして、分か……」


そこではっとして手で口を抑える。
この発言は、“認めたことと同然だ”。

慌てて彼を見ると呆れたようにため息を吐かれる。


「……隠した刃の殺気だ」


その言葉を聞き、
ぶわりと鳥肌がたった。

何故なら、間違いなく、私のポシェットには、
短刀が入っているからだ。


――嗚呼、この人には勝てない。
――嗚呼、また、“好きになってしまう”……。


が、ぶんぶんと頭を振ってその思考を取り消す。


――やるしか、ない。


素早くポシェットから短刀を取り出し構える。
相手もそれに気づき武術の構えを取る。


「……参りますッ!」


サッと身を屈め、利き足で踏み切る。
間合いに入れれば、此方のモノ!

そう確信し、一直線に懐を目がけて飛び込む。

その瞬間、相手の焦点が一瞬合わなくなるのを私は見逃さなかった。
今になって我慢していた分の毒が顕著に現れているのだろう。

――この勝負、我が首領のために。

これ勝機なり、と迷わず短刀で首をカラン――。

無機質な音が、私の足元で鳴る。
私の手を見れば、それは“さっきまで柄を持っていた形”をしていた。

直感的に、身を翻し相手と距離を取る。

何が、どうして、と悩む暇もなく
原因は突然やってきた。


「……く、うぅ、くぅ……ッ!?」


“手の甲”が尋常では無い程に痛み始めた。
まさか、治っていなかったのか。

余りの痛さに呻き声を上げ、その場に蹲る。


「……この勝負、貰った」
「っ、まだ!」


半ばヤケクソで飛び上がり、相手に踵落としをお見舞いする
はずだったのに。


「――直線で攻撃するな。
 反撃を貰いに行くようなものだ」


静かな声と共に、私は地面へ落とされた。


 


(武術の達人)

第二十七話 正犠牲→←第二十五話 長の意地



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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 森鴎外   
作品ジャンル:アニメ
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(プロフ) - 1でお願いします! 更新頑張ってください!!続き楽しみにしてます!! (2018年4月8日 21時) (レス) id: 7443137317 (このIDを非表示/違反報告)
臣民(プロフ) - みぃさん» 原作第五十話に続くような形で書かせて頂きました。二三回読める話をモットーとしておりますので、深く考えていただけたら嬉しい限りです。更新頑張ります! (2018年4月7日 11時) (レス) id: d39d595e1e (このIDを非表示/違反報告)
みぃ(プロフ) - 最後ので涙がブワッと…エリスちゃぁぁああん!! 更新楽しみにしています! (2018年4月5日 16時) (レス) id: d62fbb3902 (このIDを非表示/違反報告)
臣民(プロフ) - **楼椛**さん» いえいえ!応援有難う御座います。たっぷりお楽しみください! (2018年3月26日 20時) (レス) id: d39d595e1e (このIDを非表示/違反報告)
**楼椛** - 初コメ失礼します!今日初めて拝見させていただいたのですが、とても面白いです(ありきたりな言葉ですみません) 更新頑張ってください!これからも森さんを楽しみにしてます!←← (2018年3月26日 19時) (レス) id: e7e0abd8b6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:臣民 | 作成日時:2017年10月22日 9時

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