【文豪ストレイドッグス】幼女に「お母さん！」と言われた

第六話　舞姫と ページ8

今日はMuttiと此処を探検。
普段開けないとこもリンタロウから鍵を拝借して案内
『お母さんだから色々知ってほしいの！』って言ったら
即貸してもらった。ちょろい。


「まず、ここがいつもの場所！お絵かきしたり、お菓子食べるとこ」
「うん」

「ここが廊下。色んなとこに行くとこ」
「ん」

「ここが玄関。リンタロウドッキリ作戦のために開けた裏口もある」
「…」

「ここがトイレ。…何をするとこかは分かるでしょ」
「あの、エリ」

「ここが」
「ストーップ！！」
「どうしたのお母さん」


Muttiを見ると汗がだらだら。
冷房もつけなきゃ！


「えっと…エリス？」
「なぁにお母さん？冷房はリンタロウに言って作ってもら」
「ちょっと…はやい…かも」


Muttiの手を見ると小さなお絵かき帳。


「絵を描いてるの？」
「絵というより図かな。これは手帳。
　此処の場所の地図を描いてるの」


小さなお絵かき帳は手帳と言うのね。

見せてもらうと数ページに渡り案内したとこが描いてあった。
１枚目に１階。２枚目に２階、というように。


「ねぇ、ここって何だっけ？」
「ここは拷問部屋」
「ア、ソウデシタ」


と、言ってさらさらと手帳に書き加えていく。
流石Mutti！サマになってる！


「あれ？」


Muttiの手が止まる。


「どうしたの？」
「ここ…なあに？」


ここ、とペンで指した不自然な空間。

…あーあ、避けてたのに。


「行きたい？」
「えっ…？」


リンタロウを困らせるために教えてもイイ。
ただ、リンタロウ曰く



『ここには危険な“物が居る”から』



…Muttiに危険は及ぼしたくない。


「危険な“者”が居るんだって」
「えっ」


と、思ってた矢先にMuttiの顔がサーッと蒼くなる。


「怖い？」
「ま、まったく！？」


怖いのね。リンタロウだったら意気地なしって言うけど…
Muttiだと可愛い！


「え、エリス？」
「なぁに？」
「つ、次行こっか！？」
「はぁーい」


可愛いなぁMutti！

廊下を左に曲がって案内続行。


「ここがキッチン。これでお母さんの料理が食べれる！

　…お母さん？」


真逆、と思い今来た道を戻る。


「お、かあ…さん？」


けれど、そこには…


　


誰もいなかった。





(残酷なほどに)

―――――――――――――――――――――――――…

エリス…心の中ではAさんをMuttiと言う
Aさん…心の中ではエリスちゃんと言う

今更です。

第七話　堂廻目眩→←第五話　此処

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す