【文豪ストレイドッグス】幼女に「お母さん！」と言われた (ページ28)

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第二十話　もう始まってる異国編ページ28

ジェットコースターはいいね。
嫌なことを忘れられる。

乗った後のエリスちゃんの髪が
すごかったのは思わず笑ってしまった。

「お母さん、お花摘みに行ってくる」
「ここで待ってるよー」

分かった、と言い走っていった。
あふれ出る言葉の女子力がすごい…

でも立ってるのもつらいわけで。

「お隣宜しいですか？」
「勿論」

失礼します、と優しそうなお爺さんの隣に座

「…！？」

何故隣に、背中に浣熊をつけた人が…！？
しかも何かブツブツ言ってるし背を向けてるから顔が分からない…

気づいてる…のかな？

「あの」
「わあああぁぁぁぁああ！？」
「わああああ！？」

つられて驚く。するとバッと後ろを向いたその人。
手には小説があ

「っ！？」

グンッと小説に体が引っ張られる。
最近良くグンッってなるなぁ…じゃないよ！

「うわあああぁぁああ！？」

もう手遅れと悟った。

そして最後に見えたのは、
小説を持っていた人の困り顔だった。

―――――――――――――――――――――――――…

「お母さん？」

お花摘みから戻ったけどお母さんがいない。
こういう時は…

「あの、お母さん見ませんでした？」

周りの人に聞く！
なので近くのベンチに座っている人に聞く。

「も、もしかしてこの人であるか…？」

前が見えなさそうな人が本を開く。

「Mutti！」

なんで本に…

「…Muttiに何したの」
「わ、我輩はただ乱歩君に復讐しようとして
　後は本に入れるだけと思っていたらいきなり声をかけられて…！」
「それでMuttiが入っちゃたの」
「そうである！」

…許せない。早く返してよ！

「落ち着きなさい」
「！」

声の方に振り向くとお爺さんが。

「君のお母さんは出られないと思うのか？
　…信用してないのか？」
「し、てるよ」
「ならきっと出てくる。信じるんじゃ」
「しかしこの本は対乱歩君用で…」
「書き換えたりは？」
「難しいである…
　最悪お母さんが消えてしまうかもしれないのである…」

再び本を見る。

「Mutti…」
「さて、君は先に帰ると良い。君のお母さんは責任を持って送る。
　だから一緒に帰ろう」

このお爺さんは優しい人だ。

「…うん」
「任せたぞ…」
「任せるである！」

　

(祈りは届くのか)

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豪華客船コンビは少々お待ち下さい。