22 回想 ページ23
大「お入り下さい。」
連れてこられたのは客間の前。
「うん………」
私に客って、いったい誰？
「失礼します…」
恐る恐る戸を開く、中には男の人がいた。
私がよく知っている人。
「お父様！？」
中にいたのはお父様。
父「A！あぁ、よかった。倒れたと聞いてね。やはりお前を家に連れて帰ろうと思ってな。迎えに来たんだ。」
「え……」
父「お前には無理をさせた。荷物をまとめて来なさい。」
「…………はい………」
帰りたくないのに…私はそう言ってしまった。
部屋を出て向かったのは、廉の部屋。
「失礼…します…」
廉「ん？なんやAか」
いつもと変わらない反応。
廉「なんや？今日はどこも行かへんよ。俺は疲れとんねん。どっか行きたいなら流星か大吾に……」
「家に帰ることになった。」
廉「は？」
私の言葉に思考停止の廉。
「お父様が迎えに来た。だから…帰る…」
廉「そっか………」
廉が言ったのはそれだけ。なんでなんも言ってくれないの？私は廉と一緒に居たいのに。
廉にとって私は………
「うん。そういうことだから……じゃあ、ね」
これ以上ここに居ると泣いちゃいそうだったから、足早に部屋を後にしようとしたその時。
廉「…………ほんまに帰るん？」
「っ……」
廉が口を開いた。
廉「ここ嫌やった？気に入らんかった？それとも……………俺が嫌い？」
「っ…………」
こころなしか廉の声が震えた気がした。
廉「……図星…か……」
なんで？なんでそんなに悲しい声で言うの？
「違う！！」
廉「え？」
私はそう叫んでいた。私は止まらない。
「違う、違う！そうじゃないの………そうじゃ…ない………」
廉「じゃあ…ここに居ればええやん。」
「…………」
違う、私が欲しい言葉はそれじゃない。
廉「………ここに…居ってや…………どこにも、行かんどいて…」
「っ………」
思わず振り返る。
廉は唇を噛んで苦しそうな表情をしていた。
廉の気持ち聞かせてよ………ちゃんと、言葉で。
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作者名：L | 作成日時：2015年7月25日 23時
