土方と僕 ページ7
「トシーどうだ?仕事は…はかどって…ええ!!もうこんな減ってる!?」
近藤は見違えるように書類がまとまっている部屋を見てまさかこの数時間でこんなにも雑務が終わっているとは思わなかった。
「あぁ。近藤さんちょうど良い。この書類持って行ってくれ」
ふぅーっと煙を吐き出さながらくいっと親指で書類の山を指差す土方。視線を移すとAがこちらです。と渡した。
「え!?Aくん?」
「局長、お持ちしましょうか」
「きっ局長?!ちょっと〜Aくんやめてよ」
「オイA、これ終わった」
「承知しました。経理・監察に回しておきます」
「あァ頼む」
少し前までと違う二人の様子にちっとも頭がついていかない近藤はただただ混乱していた。
「おーい、ゴリラ。食べるものよこせヨ」
「なんで渡さなきゃいけないんだよ!お前ら仕事しに来てるんだろ!!」
「何言うてるアルカ!!腹が減っては仕事は出来ぬとかなんとかあるダロ」
「黙れ!!いいから配管直して来いよ!!」
作業着を来た少女とぎゃいやい言い合う近藤。Aはそんな近藤の姿を見てつくづく面白い人の周りには面白い人が集まるんだなあと思い笑えてくる口角を抑えようと口元を歪ませた。
土方は机に頬をつきながら、じぃっと笑いを堪えるAを見ていた。近藤さんがチャイナ娘と知能がほぼ一緒なのは見慣れた日常であったがそんなに面白いか?
AA。この短時間一緒に居て楽だと感じた。変な気を使うこともなく仕事をする俺の流れを止めることなくこれぞ阿吽の呼吸という感じであった。
大抵の奴は臆してテンポが狂ったり、考えているタイミングで話しかけたりと息が合わない。
「…A。」
「あ、はい!」
「もういいぞ。ある程度片が付いた。こんなにも終わるなんて儲けもんだ」
「いえ、最後までご一緒させていただきたいです。お願いします」
三つ指をついて頭を軽く下げるAを見て、こいつもつくづく仕事人間だなと思った。
「そうか…隊士にしてえくらいだな」
「え?」
「いや。何でもねェなら、遠慮なく頼むぞ」
はい。と奥ゆかしい雰囲気のままAが笑いかけた時にどきんと心臓の鼓動が早く鳴った。
「(は?え?ドキッてなったか?嘘だろ、相手は男だぞ)」
「オイ、トシ!お前からもこのチャイナ娘に言ってくれよ」
「トシ、食べ物くれアルヨ」
「トシって言うな。ねえよ。」
「客人にここの奴はお茶も出さねえのかよ」
「黙れ万事屋」
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作者名:アバランチ | 作成日時:2022年7月16日 23時