米:君色のキャンパス 8 ページ18
「なーにが完璧なの?そんなに上手かな、えへ、ありがとう」
そう言うと、彼はほんの一瞬、変な顔のバケモノでも見たかのような、驚きつつも馬鹿にしたような笑いで返してくる。
「ああ!みてくれよ、この傑作を!」
傑作とは、わたしの描いた絵のことだろう。
そんなに褒めても、出るのなんて手だけなんだから無駄なのにな、とか思いつつも、やっぱり褒めてもらえるのは嬉しい。
「あー、うん。わたしが描いたんだから、素晴らしさはよくわかって__」
「ほら、君と俺の合作さ!」
「……は?え、えぇ?」
わけがわからない。その言葉だけで、今のわたしの気持ちが表現できる。
なんでコイツ、人の絵に勝手に描いたのかな。あと、なんでこんなに上手なのかな。
わからない。わからないけど、でも、しっくりきた。
まるで、なくしたパズルのピースが、ぴたりとはまるみたいだった。心の中にあったひっかかりが、するりとほどけたような感覚が、とても心地好かった。
「え、あのさ、これ、アルフレッドがっ描きたしたの……?」
動揺なんてしていないけど、それでも、感動で声が震えてしまう。
「?そうだよ、すごいだろう!」
ああすごいよ、お前がナンバーワンさ!と思わず言ってしまいそうになったが、堪えて別の言葉を選ぶ。
「すごいよ、天才かも!」
天才は大袈裟かもだけど。
クレヨンでできた人の周りには、ピンクや黄色の、一見背景に不釣り合いな色が散りばめられているが、それが逆に無邪気でいい。ちゃんとバランスがとれていてすごい。
でも、コイツがどんなにすごくても、こんなにあたたかくて素敵な絵に仕上がったのは、きっとわたしが先に頑張ったからだって、対抗心を抱いてしまう。だけどそれはきっと、悪いことではない。
「まぁ、元が良かったからね!」
見栄を張ってそう言うと、彼はやっぱりちょっと怒ったような顔で、口を尖らせてくれた。
「むぅ……でも、完成形になったのは俺のナイスアイディアのおかげなんだぞ!」
知ってるよ、そんなこと。どうせわたしはヘタクソだよ。と言う気にはならなかった。
彼はふぅ、と息を吐いて、地面に座り込む。
その様子を見て、面白いことが起こるわけではないけど、わたしは立ったまま、彼の座る右側に歩いていき、後ろで手を組んで彼に向き直る。
「どうしたんだい?絵みたいな格好して……」
不思議そうに問い掛ける彼に、わたしは笑いながら答える。
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そら色ぱんだ(プロフ) - イチゴフラペチーノさん» コメントありがとうございます。その言葉を待っていました!後でフェリちゃん視点の話を書く予定ですのでそちらで分かると思います。でもヒントを出すとしたら、フェリちゃんのお願いは絶対叶いますよ。 (2017年8月5日 11時) (レス) id: a29f2cd473 (このIDを非表示/違反報告)
イチゴフラペチーノ - フェリちゃんが主人公のお話でフェリちゃんとルートが何をお願いしたのか気になります! (2017年8月5日 0時) (レス) id: e3c16ab556 (このIDを非表示/違反報告)
そら色ぱんだ(プロフ) - 小夜さん» ありがとうございます!その一言でやる気が溢れてきます! (2017年5月14日 12時) (レス) id: 115534a937 (このIDを非表示/違反報告)
小夜 - とても面白かったです!頑張ってください (2017年5月12日 23時) (レス) id: 1ce20541ad (このIDを非表示/違反報告)
そら色ぱんだ(プロフ) - maoさん» それはよかったです!ありがとうございました! (2017年4月30日 12時) (レス) id: 115534a937 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:そら色ぱんだ | 作成日時:2017年2月19日 3時