米:君色のキャンパス 9 ページ19
「んー?だって、楽しいじゃん」
ひとりじゃなくなった絵は、とても楽しそうで、いろんな色であふれていた。
仲の良さそうな二人の絵に、ほんの少し、憧れた。
「そうだね。君といると楽しいよ」
「えへ、ありがと」
絵の中の二人が、少しだけ羨ましくなるくらい、楽しそうで、幸せそうで、わたしも、やってみたいなって、ちょっとだげ、思ってみただけ。
「ねぇ、わたしはね、もっと楽しいよ」
恐る恐るそう言えば、なっ俺の方がもーっと楽しいからな!と、真っ赤な怒り顔で返してくれる彼が、ほんのちょっとだけ、好きになっていたのは内緒。
______
彼女が後片付けをしに行ってしまい、特にすることもなく、ただ夏の青空を眺める。三日前よりも白の多く混ざる空は、青というよりは水色に近いのだろう。
手持ち無沙汰とはまさしくこういうことを言うのだろうと、暇が極限まで達している俺は下らないことを考える。
ふと青空にあった目線を下に下げると、彼女の置いていったスケッチブックが目にとまる。
歩み寄って拾い上げると、真新しく何もない真っ白なページをパラパラと、意味もなくめくってゆく。
そして、中途半端なページ数のところで、彼女が描いていた絵をみつけた。多分、一刻も早く描きたくて、几帳面に一番最初のページを探す時間がもったいないとでも判断したのだろう。
「上手く描けてるよなぁ、これ」
それなのに、ほどほどでいいと、妥協してしまった。
何かがひっかかる、気持ち悪く、むずむずとしたこの感じはなんだろう。
この絵はとても綺麗で、彼女も頑張って描いていた。それは俺も知っている。
それでも何かが、何かとても大切なものが足りないから、こんなにもむずむずとした変な感じがするのだろう。
この苛つきさえ覚える『ほどほど』も去ることながら、『足りない何か』が更に不快感を強くさせる。
「A、まだかな……」
違和感は残るが、彼女は今、作品の後片づけの真っ最中だ。おそらく彼女も感じているであろうこの違和感を、戻ってきたら伝えてみよう。
そう思った瞬間、ペンケースから飛び出た青い物が目に入った。
「これ、立ってる俺を消したってやつ……」
そうだ、座っている絵の方がいいと判断した彼女は、この青い角消しで立ち姿の俺を消したと言っていた。他を巻き込まずにそこだけ消せたと、興奮気味に語っていたのを思い出す。
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そら色ぱんだ(プロフ) - イチゴフラペチーノさん» コメントありがとうございます。その言葉を待っていました!後でフェリちゃん視点の話を書く予定ですのでそちらで分かると思います。でもヒントを出すとしたら、フェリちゃんのお願いは絶対叶いますよ。 (2017年8月5日 11時) (レス) id: a29f2cd473 (このIDを非表示/違反報告)
イチゴフラペチーノ - フェリちゃんが主人公のお話でフェリちゃんとルートが何をお願いしたのか気になります! (2017年8月5日 0時) (レス) id: e3c16ab556 (このIDを非表示/違反報告)
そら色ぱんだ(プロフ) - 小夜さん» ありがとうございます!その一言でやる気が溢れてきます! (2017年5月14日 12時) (レス) id: 115534a937 (このIDを非表示/違反報告)
小夜 - とても面白かったです!頑張ってください (2017年5月12日 23時) (レス) id: 1ce20541ad (このIDを非表示/違反報告)
そら色ぱんだ(プロフ) - maoさん» それはよかったです!ありがとうございました! (2017年4月30日 12時) (レス) id: 115534a937 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:そら色ぱんだ | 作成日時:2017年2月19日 3時