米:君色のキャンパス 10 ページ20
そのとき、頭の中の細い糸が、プツンと切れた気がした。
「そうだ!」
さっきまで彼女の座っていたところに、無造作に置いてあるクレヨンを拾って、中にある黒と赤と白を取り出す。
それからピンクや黄色も必要と思い、もういいやと箱ごと取った。
「えっと、確かこう……」
三日前の彼女の服装を思い出す。
三日間ずっと、学校のものであろうジャージに赤のクロックスという、なんともゆるい、上半身の暑そうな格好をしていた。
俺が尻餅をついたにもかかわらず大笑いしていた彼女の表情を思い浮かべながら、そして、にやけてしまう顔を片手で覆いながら、クレヨンを握る手を動かす。
先程の、俺が修正を加える前までの絵もまぁ、そこそこ上手く描けていた。でも、それだと彼女はいつか、そこそこで満足してしまったことを後悔するんじゃないかと思った。
だからこんな、下手をすれば彼女に嫌われるかもしれないお節介を焼いてしまった。
だけどそれでも、この完成した絵は__
「完璧なんだぞ!」
素晴らしいの一言に尽きる自信作だが、決して自惚れてなどいない。本当に完成した絵というのは、まさしくこのような絵のことをいうのだと感じさせてくれる最高の作品だと、俺は自信をもってそう言える。
「なーにが完璧なの?そんなに上手かな、えへ、ありがとう」
背後から突然あらわれた彼女は、さっきまでの絵が褒められていると思ったのだろう、口許が緩んで馬鹿みたいな愛嬌のある顔で俺に話し掛けた。
「ああ!みてくれよ、この傑作を!」
「あー、うん。わたしが描いたんだから、素晴らしさはよくわかってるよ__」
「ほら、君と俺の合作さ!」
「……は?え、えぇ?」
驚いてる驚いてる。
ありえない、なんて言いたげな表情で、俺とスケッチブックを交互に見る彼女の、なんと滑稽なことか。
「ハハハッ、なんだい、その顔は?」
馬鹿にするようなニュアンスで問い掛けると、意外にも彼女は、俺を怒るようなことはしなかった。
もしくは、俺の声が届いていなかったのかもしれないけど。
「え、あのさ、これ、アルフレッドがっ描きたしたの……?」
「?そうだよ、すごいだろう!」
褒めてくれているのか貶しているのかは判断しかねるけど、そこに悪意は感じられなかったので、聞かれた質問にちゃんと答える。
「すごいよ、天才かも!」
何を言い出すのだろうと、一瞬固まってしまった。
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そら色ぱんだ(プロフ) - イチゴフラペチーノさん» コメントありがとうございます。その言葉を待っていました!後でフェリちゃん視点の話を書く予定ですのでそちらで分かると思います。でもヒントを出すとしたら、フェリちゃんのお願いは絶対叶いますよ。 (2017年8月5日 11時) (レス) id: a29f2cd473 (このIDを非表示/違反報告)
イチゴフラペチーノ - フェリちゃんが主人公のお話でフェリちゃんとルートが何をお願いしたのか気になります! (2017年8月5日 0時) (レス) id: e3c16ab556 (このIDを非表示/違反報告)
そら色ぱんだ(プロフ) - 小夜さん» ありがとうございます!その一言でやる気が溢れてきます! (2017年5月14日 12時) (レス) id: 115534a937 (このIDを非表示/違反報告)
小夜 - とても面白かったです!頑張ってください (2017年5月12日 23時) (レス) id: 1ce20541ad (このIDを非表示/違反報告)
そら色ぱんだ(プロフ) - maoさん» それはよかったです!ありがとうございました! (2017年4月30日 12時) (レス) id: 115534a937 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:そら色ぱんだ | 作成日時:2017年2月19日 3時