米:君色のキャンパス 4 ページ14
「勝手に描いてごめんなさい!でも勝手に見ないで!」
奪ったスケッチブックを見られないよう、隠すように抱き抱え後ろを向くが、おそらく距離というものを知らないであろうこの男は、私の肩に手をあてて上からひょいと覗き込んでくる。
上手いって言ってもらえるのは嬉しいけど、それって自分が描いてあるからじゃない?あと、ちょっと生イケメン近い。
そんなことを思い少し悲しくなった途端、男は言う。
「いいじゃないか!君、才能あるよ!」
どくん、と心臓が大きく波打った。
男の表情は見えないけど、それでも笑顔なんだとわかった。
だけど、ベスト・オブ・平均のわたしに才能だなんて、きっとこの男の目は、綺麗だけど節穴なのかもしれない。
「あ、ありがとうございます」
でも、はじめて言ってもらえた言葉に素直に嬉しいと思うのは、きっと私が、その言葉を言ってほしいと思っていたからなんだろう。
「ハハッ、どういたしまして!俺、この絵好きだぞ!なんていうか……ブレた写真みたいだ!」
「えぇ?!ありがとうございます、嬉しいです!」
嬉しいとは言ったが、その表現ははたして褒めているのか、貶しているのかどちらなのだろう。
「あ、でも俺はもっとビッグでかっこいいんだぞ!!」
もっと格好よく描いてほしかったらしい男は頬を膨らませて私に抗議する。
それをわたしは黙ってコクリとうなずく。
「立ち方だって、俺はヒーローみたいにこうやって__」
つべこべ言う、という言葉は、多分こういうことを指すのだろう。国語辞書で調べたことはないけれど、まさにつべこべ言っている男を見て私は理解した。
少しだけ怒るような口調で、男は最初の絵と同じ場所に駆けて行って、立ち止まる。座っているのが気にくわないらしい。
「ほら!こーやってかっこよく立つんだ、覚えておくんだぞ!」
腰に片手をあてて胸を張る男は、身振り手振りでレクチャーしてくれるが、かっこいい!というよりもなんだか可愛い挙動に、なんだか笑いが込み上げてくる。
イケメンってみんなどこかしら残念なのかな。
「ふふっはい、気を付けます、あっははは」
「ど、どうして笑うんだい?!そんなに面白いことしてないんだぞ!」
「だ、だってイケメンがっ!てぃははははっ」
急に笑い出した私に戸惑う男の様子に、更に笑ってしまい収拾がつかない。
若干引き気味の男だが、後ずさりしようとしてすっ転んで尻餅をついてしまったのが火に油を注いだ。
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
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そら色ぱんだ(プロフ) - イチゴフラペチーノさん» コメントありがとうございます。その言葉を待っていました!後でフェリちゃん視点の話を書く予定ですのでそちらで分かると思います。でもヒントを出すとしたら、フェリちゃんのお願いは絶対叶いますよ。 (2017年8月5日 11時) (レス) id: a29f2cd473 (このIDを非表示/違反報告)
イチゴフラペチーノ - フェリちゃんが主人公のお話でフェリちゃんとルートが何をお願いしたのか気になります! (2017年8月5日 0時) (レス) id: e3c16ab556 (このIDを非表示/違反報告)
そら色ぱんだ(プロフ) - 小夜さん» ありがとうございます!その一言でやる気が溢れてきます! (2017年5月14日 12時) (レス) id: 115534a937 (このIDを非表示/違反報告)
小夜 - とても面白かったです!頑張ってください (2017年5月12日 23時) (レス) id: 1ce20541ad (このIDを非表示/違反報告)
そら色ぱんだ(プロフ) - maoさん» それはよかったです!ありがとうございました! (2017年4月30日 12時) (レス) id: 115534a937 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:そら色ぱんだ | 作成日時:2017年2月19日 3時