オーエル (ページ2)

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2月半ば

ほんの少しだけ寒さが落ち着いたこの季節

リ「てことで同棲することになった」

20歳の頃から一生住んでいる親友が、缶ビール片手に芋けんぴを食べる私の前で幸せそうな笑みを浮かべる

「ついに結婚..」

リ「いやまだ早いから笑」

「リサはどんどん前に進んでいくね」

一緒に歩いていたはずなのにリサは3年付き合っている彼と結婚を前提に同棲を始めるという

結婚かぁ...私にはまだまだ遠い話だ

私は何をしてるんだろ

リ「部屋はこのままでもいいんだけど....」

「私1人に払えると思う？」

リ「だよね笑」

せっかくのシェアハウスだからと、高校を卒業して進学せずに働いていた私たちは一般の一人暮らしより少しだけいい暮らしをしていた

だがしかし1人になればそんな贅沢もしてられない

「この部屋とお別れする時がきたかぁ」

リ「なんか寂しいね、ここが誰かのものになるの」

もう3年住んだこの部屋には当然色々な思い出があるわけで、昔はよく友達も呼んで鍋パーティーなんかもしたなぁ

んー、懐かしい

いつか来るとは思っていたけど
いざこの現実が目の前に置かれると、寂しい

まだ時間はあるのに2人ともお酒を飲んでいるせいかしんみりしてしまった

「家探しかぁ～」

寂しさを消し去るように、残りのビールをぐいっと飲み干し私はその場にゴロンと寝そべった

-

数日後

直「家探し？」

「そうなんです、リサが彼氏と同棲始めることになって」

直「リサちゃんもついに結婚準備かぁ～～」

10:47

平日のこの時間のカフェは暇なもので、今日も今日とて店長の直人さんとおしゃべりtime

直「女の子の一人暮らしは慎重にならねぇとな」

20歳の頃は楽しく選んでた家探しも、今となっては面倒臭で仕方がない

直「2階以上オートロック管理人在住で駅は徒歩10分以内、できれば玄関と窓はダブルロックがおすすめだな」

「....貯金しておくべきだった」

直人さんが言う条件は確かに女子の一人暮らしには欠かせない条件だ

ただ貯金ができない私には今そんな部屋の家賃が払える余裕はない

“早くそんなバイトみたいな生活やめなよ！”

いつか貯金しない主義の私を見てリサが言った

だってお金ってあればあるだけ使っちゃうじゃん、、

直「家は妥協しない方がいいぞ」

その時カランコロンと店のドアが開く音がする