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86.冷めやらぬ思い ページ10
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風斗side
涼太さんの助言もあり
しっかりと自分が準備してきた
最大限の演技ができたと思う。
このシーンをもってクランクアップとなった僕は
ホテルに戻り、明後日の帰国の準備をする…
つもりだったのだが、撮影の興奮が冷めず
ベットの上でぼーっとしていた。
監督や共演者の先輩方にも
「想像以上だ」と褒めてもらい
俳優の朝倉風斗として見てもらえたように感じる。
この上なく高まる気持ちで気づけば
携帯電話を手にしてAの名前を探していた。
今日のことを話したら喜んでくれるだろうか。
なんて、Aの笑顔を想像してしまう。
この2ヶ月、役に向き合うために
Aのことを忘れられていたつもりだった。
本当は全然忘れられてなんかいない。
煮詰まった時には気分を切り替える言葉
撮影で爪痕を残した時には嬉しそうな笑顔
Aがしてくれたことは全て覚えてる。
理性が先に働くはずの僕なのに…
気づけば Aに繋がる数列に指が向かっていた。
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作者名：kiki | 作成日時：2017年6月11日 18時
