SCP財団の一研究員の苦難

怪しい白衣の人 ページ3

流石に流行り病の影響で外には人が殆どいない。
指定された施設に行けば、そこには警官が数人いた。
そこで受けた説明は、電話口で聞いた内容を少し詳しくしたものばかり。
家を出る前に思いついた疑問を解消するようなものはこれっぽっちもなかった。
それで、遺体を見せてくださいと、言ったが、静かに首を横に振られた。
証拠というのは勿論のこと、状態が酷すぎて見せることができないと断られた。
強い口調でそう言われて仕舞えば、ただ病的に研究に取り憑かれているだけの自分にはどうしようもなくて。
渋々施設を出て家に帰るために路地に入ると、今度は白衣の人と警備員らしき人達に囲まれることになった。
白衣の人からは消毒液の匂いではなくて，どちらかと言えば自分が慣れている匂いがしていることから、研究職に就く人なのだろうと想定がついた。
彼は、胸に赤い宝石がはめ込まれたネックレスをしていた。その白衣姿とは不釣り合いなネックレスは悪目立ちをしている。要は関わりたくない人物に違いない。
「初めまして、ローワン・グリーンさん。」
どうして今日会う見知らぬ人物は誰も彼も自分の事を一方的に知っているのか。
整理がつかないままごちゃごちゃした疑問の中にまた疑問が放り込まれたせいか、無性に苛々してくる。
「そうですけど。貴方達は一体なんなんですか。」
「貴方のご家族やご友人について、話があるんです。勿論、ついてきてくれますよね？」
私の質問はスルー、語気を強くして圧をかけてくる。
勘弁してくれ、今その事については全く考えたくないんだ。
顔を顰めている私をまたスルーしたのか、両側からガッチリと、警備員らしき人たちが私を掴み、持ち上げる。
いとも簡単に持ち上げられてしまい、宇宙人のような構図になってしまう。
そのまま車に押し込められ、発進した。

SCP-963 by AdminBright(作成日2008) https://scp-wiki.wikidot.com/scp-963

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