4話 ページ6
先生「それではジャンケンで負けてしまってまだ委員会が決定していない生徒は時間をとるので集まって少し話し合ってください」
先生のその一声で、まだ委員会が決まっていない人が何となく集団になっていった。
貴「あ、あの…緑間くん、だよね?私、佐野Aって言います。同じ委員会になったけど1年間よろしくね」
話し合いが行われているのをいい事に、緑間くんに話しかけに行く事にした私は自己紹介がてら新しい友人を作ろうと試みた。
それなりに緊張はしたが、私にしてはなかなか上出来の自己紹介だったように思う。
緑「…ああ。オレは緑間真太郎だ。あと同じ委員会になったのは俺が人事を尽くしたまでのことだ」
貴「それさっきも言ってたけど…具体的には何をしたの?」
先程から彼の言う『人事を尽くす』という言葉がいまいちピンとこずに微妙なリアクションしか取れずにいると彼は「だからお前は駄目なのだよ」と軽く溜息を吐いた。
え、バチバチに初対面で人格全否定…?
貴「ごめんなさい、私が駄目人間で隠キャでクズなもやし野郎なのは認めますけど、話の意図が汲み取れなくて…」
緑「いや…そこまでは言ってないのだが…
お前、おは朝占いを見ていないだろう」
私の発言に若干引きつつも、彼は律儀にそう言った。
貴「え?おは朝占いって朝のニュースの合間にやってるやつだよね?」
いきなりおは朝占いと言われて面食らったのは言うまでもなくそう聞き返すと、緑間くんは短く「ああ」と返した。
緑「今日のかに座の運勢は2位…そしてラッキーアイテムはカエルのおもちゃ、それと今日はラッキーナンバーは5だという情報もセットなのだよ」
嗚呼、その机の隅に置いているカエルの置物はラッキーアイテムだったのか。納得。
それと緑間くんの話を聞く限り、なかなかのおは朝信者だということがわかる。
この様子だと毎日欠かさず占いを見ているようだ。
私は小学生の頃は割と占いを信じて毎朝占いの順位に一喜一憂していたが、今では自分から占いを見ようとする事もない。
まぁ、占いは所詮当たらないもので気まぐれなのだと高を括っているだけなのだが。
貴「もしかして…ラッキーナンバーが5だったから5番目に黒板に書かれた委員会にしたって事?」
緑「当然だ。人事を尽くしているからな」
貴「えぇ…理由がそれか〜…凄くストイックだね」
何の気なしに言うと彼は心なしか優しい表情をした気がした。
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作者名:ヤマ子。 | 作成日時:2019年8月3日 0時