17話 ページ19
貴「いやノリて」
緑「オイ、佐野。顔が凄いことになっているのだよ!」
高尾くんの言葉にドン引きしたのはもはや当然のことだろう。
勿論、ノリで紹介されても困るのは私なのだが、その前に私がマネージャーとして使えるかどうかもわからないのであればバスケ部への悪影響も考えられるのだ。
高「いやー…悪かったって!ちゃんと理由はアンタがマネになってここぞというときに言うからさ!」
両手を合わせてごめんと謝る彼を見ると何故か憎めなくなり、軽く溜息を吐くと「怒ってないからいいよ」と許すことにした。
貴「てかなんで私がマネージャーになること前提で話進んでるんです…?」
ふと今まで感じていた違和感を口に出すと、目の前にいる宮地先輩は表情筋を1ミリも動かすことなく真顔でこう言い放った。
宮「そりゃあお前……オレ達の試合観てお前が感動しねえはずねえもん」
貴「は?」
理解が追いつかずに言葉を失ってしまった。
そんな自信満々なこと真顔で言われても……この人は私の何を知ってるんだろうか。
まあ、昔の"ある出来事"のせいで消極的な性格になって、試合を観に行くことがなくなったことは認めるが。
高「いや先輩の自信凄すぎっしょ!」
宮「オイ、高尾!笑ってんなよ…!つーかお前も試合出るんだぞ!?」
高「え、マジっすか!?!?よっしゃー!!
んじゃ、佐野ちゃんの心を鷲掴みにできるように高尾ちゃんも頑張んないとだなー!」
そう言って無邪気に笑う高尾くんに私は置いてきぼりにされて1人で唖然としていた。
大「先程からずっと困惑させているようで…申し訳ない。
よければこれを持っていてはくれないか?」
貴「これって………入部届?」
大坪と呼ばれる人は何処からか入部届とみられる紙を取り出すと私に手渡してきた。
大「コレはオレ達からのワガママだ…次の試合で君の心に何も響かないようであったなら勿論入部しなくていい。
しかし、少しでも君の中で何かが変わったのであれば是非入部してほしい」
貴「……………はい」
宮「えっ、今まで説得しても嫌々だったのになんで大坪のときはそんなすんなり返事すんだよ!?」
貴「だって…」
仕方がないじゃないか。
あんな息ができなくなるくらい真っ直ぐな目で見られては。
きっとこの人の真っ直ぐさは根っからのものだろう。
目の奥が、キラキラしてる。
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作者名:ヤマ子。 | 作成日時:2019年8月3日 0時