駄菓子が30 ページ31
「………Aくんは、私のこと嫌いかい？」
「へ？」
お兄さんからの突飛な質問にマヌケな声を出してしまう。
「…き、嫌いじゃないけど」
顔を斜め下に背けて、答えた。
相手に好き嫌い言うのってこんなに恥ずかしいのか!?
「そっか。私は好きだよ、Aくんのこと。」
反らした僕の顔を覗きこむように、耳元で囁かれた。
うぉい、と少しびびってしまった。
チラリと横目でお兄さんを見ると、目が合った。
もう絶対僕の顔赤くなってる気がする。
そもそも、なんで僕は照れてるんだ。
愛の告白をされた訳じゃあるまいし…
ただの好感度の確認だって。…好感度の確認ってなんだ。
「そ、そう…」
どう言えばいいのか分からないし、声が震えた。
どことなく気まずい雰囲気が流れる。
え、このまま別れるの!?
後からなんか言っとけばよかった、とか思いたくないんだけど。
当のお兄さんは前を向いて歩いていた。
「Aくん、また、たくさん話したり…話したり…しようね。」
「話すことしかないじゃん。」
“話したり”ともうひとつ分の“たり”が思いつかなかったのか、同じ言葉が繰り返されて笑ってしまった。
お兄さんはしんみりとしたお別れの雰囲気を出してくれようとしたけど、僕はこういうのは好きじゃない。
軽いノリで、『じゃ、またな』くらいでいい。
でも、僕とお兄さんの間には年齢差があるし出会ってやっと１週間だから、そういうことが出来ないのは分かっていた。
お兄さんともっと仲良くなれないのだろうか。
僕はお兄さんともっと仲良くなりたいのだろうか？
「お兄さん。次はいつ会えるの？」
「君がここに来たら、じゃないかな。………会いに行ってあげようか？」
「は!? いや、いいよ!」
僕は懲りずにまた“いいよ”と言ってしまった。
そのことに、僕の言葉を聞いたお兄さんがニッコリと笑ったのを見て気がついた。
「いつでもここに遊びに来ていいからね。その時は私とたくさん話そう。」
「うん。」
僕はお兄さんからの誘いに断れず、素直に頷いた。
だんだん海が見え始めた。
あと少しでお兄さんの手が離れてしまう。お兄さんと別れてしまう。
そんな不安が押し寄せるけど、お兄さんに“また”話そうと言って、“また”会おうと思ってくれていることが感じられて、ひどく安心した。
“また”冬に絶対来よう。
僕は、ニコニコと笑っているお兄さんに見送られ自分の家に帰った。
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壱(プロフ) - りんごさん» ありがとうございます(*^^*) (2019年11月2日 22時) (
レス) id: 16a8646f1c (このIDを非表示/違反報告)
りんご(プロフ) - 主人公の言葉に凄い笑いました笑笑 (2019年10月27日 8時) (レス) id: 92785b223f (このIDを非表示/違反報告)
アリア - 壱さん» 一人でテンション上がりまくってました!あと15ってショタじゃない気してきました... (2019年7月29日 11時) (レス) id: 39676cde20 (このIDを非表示/違反報告)
壱(プロフ) - アリアさん» 気づいてしまいましたか…！(嬉)主人公がひっそりいました。 (2019年7月28日 19時) (レス) id: 16a8646f1c (このIDを非表示/違反報告)
アリア - 今気づいたけど設定2に[先輩を攻略するのは難しい]メンバーがいる!今ごろ気づいた! (2019年7月27日 10時) (レス) id: 39676cde20 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ひぃ | 作成日時：2019年2月25日 21時
