# 先輩の愛し方 . [inym]

# ヒミツの相談 . Rside ページ20

｢キスマークに噛み跡。これは-β型の傾向だ。
ここ最近、相談されてた+α型のストーカー先輩くんとは全然違うタイプなんだけど？｣


｢…いつからお気づきに？｣


｢1ヶ月前。｣


｢ははっ。すっご。｣



やっぱりこの人はカンが凄い。
前は観察力が高いのだと思っていたが、何となく目に留まったり何となく気づくことがたまたま人より多いだけなのだと言われた。

まあそのお陰で、2〜3ヶ月前に伊野尾先輩の事で悩んでいた俺を見つけ、唐突に相談に乗るとこの店へ誘われた訳なんだけど。



｢俺の予想は、当たった？｣


｢まあ、そうかな。｣


｢んじゃ、詳しく聞きましょうか。
山田くんの気が済むまで、相談乗るから。｣


｢それは、どーも。｣



初めてこの店に来た時から思っていたが、この人は他人の壁を乗り越えるのが上手い。

現に何か思う度俺はこの店に足を運び話を聞いてもらっているのだから。



｢よーし。いつもの一問一答、始めるぞ〜｣


｢ほーい。｣


｢先輩くんとは最近どう？｣


｢相変わらず襲われて玩具にされてるね。｣


｢先輩くんと離れようとはしてる？｣


｢常にそれは思ってるけどあのストーカー行為には勝てない。｣


｢先輩くん以外の男と関係を持ったのは？｣


｢何となく、かな。自暴自棄で。1ヶ月前くらいから。｣


｢先輩くん、その事は？｣


｢知らないよ。ってか興味無いんじゃない？｣


｢うし。とりあえず終了。｣



随分変わった相談の仕方だとは思うけど、これも俺に気を利かせてくれた有岡さんの案だ。
このお陰でノリに乗ってつらつら何も考えず話せるから俺は結構気に入ってる。



｢んじゃ、掘り下げるけど〜。
やっぱまだ先輩くんと関係切るのは難しそうだねぇ〜｣


｢うん。今はもう諦めてる。あのポジティブ変態には敵わないもん。｣


｢なるほどなるほど。
んで、他の男と寝だしたって訳か。｣


｢………あのさ、｣


｢なに？｣


｢ずっと思ってるんだけど、気持ち悪くないの？
つい最近知り合った男の肉体関係事情なんて知って。｣


｢うん。全く。
俺偏見ない方だからさ。｣


｢…有岡さんも、変な人だね。｣


｢え？それは先輩くんと同様？｣


｢それはない。有岡さんは先輩みたいに無理矢理なことはしないし。｣


｢いや喜びづらいんだけど。｣



苦笑いする有岡さんの首元が照明で照らされ、ネックレスのチェーンが光る。

年齢は知らないけど相当な童顔なのに何処か色っぽいそれに何となく目を逸らした。

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