【6】差し伸べる手 _ Iside 。 ページ6
「あの、もし良ければ…なんですけど、」
未だ座り込むその人と同じ目線になるように、中腰にしていた体を折り曲げてその場にしゃがむ。
そして縋るような目に胸をザワつかせながら、口を開いた。
「ウチに……
俺の家に、来ます?」
「………ぇ。」
感情を表すかのようにゆったりと動いた、涙に反射する目の光。
混乱を持ちながらも瞳の奥の深く、俺を写す瞳孔はそれを待ち望んでいたようにも見えた。
「……体も冷え過ぎ、顔色も最悪。寒さのせいでちゃんと喋れてもいない。
…このままじゃ、貴方倒れます。多分…いや絶対。
だから…、家に帰れないんなら、…雨宿り的な感じにでもって……。」
案外こういうのが苦手な俺にしてはよく喋った方だと思う。
見知らぬ人に家に来る?
なーんて、本当に普段の俺なら正気の沙汰じゃないってのに。
んまぁ、これも全部。仕事疲れと、好奇心…って事で。
「どう、ですかね?」
「……ぇ……ぁ…、で、も…っ、」
「もちろんっ…、言った前提、全然迷惑とか無いです。あ、一人暮らしなんで部屋もあります。」
もう半ば強制的に連れて帰ろうとしてる俺は一体何がしたいのか。
それでもこの人を見ていると、何故かそれが1番の正解だというような気がして……
今手を差し伸べてやれるのは俺だと感じてならなかった。
「行きましょう…?
…ほら。」
「っ、」
静かに
その人へ伸ばした手。
それは彼を受け入れる事を十分に表しながら、不安そうな目に微笑んでやると、少しの時間を流し、唇を軽く噛んでおずおずと頷いてくれる。
そして。
溜めきっていた温かそうな涙を
ホロリと頬へ伝わせ
「……ぉ、ねが…ぃ……しま、す…」
「ふふっ……はい。もちろん。」
伸ばされ握りしめられたその冷たい手を
おれは
強く、優しく…握り返した。
【7】お風呂へ _ Iside 。→←【5】謝りグセ _ Iside 。
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星羅(プロフ) - 楽しみに待っていました!次の展開が楽しみです、素直な山田さんがとても可愛くてもう...笑 また個人的に´´クソッタレた未来を「全部ぶち壊...(略)」の部分がどこで出るのかわくわくです笑 とてもお話の内容に見入ってしまう?様な小説で毎回楽しみです頑張って下さい! (2017年11月10日 0時) (レス) id: 5744160fa6 (このIDを非表示/違反報告)
あやりょ 。(プロフ) - 星羅さん» 星羅さん!コメントありがとうございます^^*なんとも嬉しい感想、今最高に幸せです書いてる意味がありますありがとうです!!!おお、しかもワタクシの方まで気を回してくださるなんて!こんなにお優しい方にご覧になって頂けて感謝です。これからも頑張りますね! (2017年11月8日 0時) (レス) id: b331d663ec (このIDを非表示/違反報告)
星羅(プロフ) - コメント失礼します!このお話は展開が毎回気になる作品の一つでアップの通知が来てすごく嬉しかったです!面白い作品でもあっていのやま作品でも特に好きです。続き楽しみに待っています、最近サブくなっていますし体調に気をつけてお過ごしください!頑張ってください (2017年11月5日 15時) (レス) id: 5744160fa6 (このIDを非表示/違反報告)
あやりょ 。(プロフ) - 千香さん» 千香さん!コメントありがとうございます^^* 簡潔だけど率直な感想!分かりやすい上に嬉しすぎるお言葉ありがとうございます!!!これからも萌えさせられるよう頑張りますね( ̄^ ̄ゞ (2017年11月5日 11時) (レス) id: b331d663ec (このIDを非表示/違反報告)
千香 - 萌える! 照れるとことか可愛すぎて死にました! 伊野尾ちゃん頑張れ! 続き楽しみです!更新頑張ってください! (2017年11月4日 14時) (レス) id: 85985d82bf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あやりょ 。 | 作者ホームページ:http://antyan
作成日時:2017年9月29日 0時