ヌ レ ル __ 。 [inym]

【第3章-40】女 _ Rside ｡ ページ40

「げほっ…はぁ……体痛い。」



伊野尾ちゃんとの再開を果たしてから約一週間後の現在、俺は数少ない有給を使って喫茶店から休みを貰っていた。

そんな流れる日常も相変わらずで、ただあのヒトの檻の中で荒れきった生活を感情の無いままに過ごしているだけだった。



「……雨…」



もう10月に入った最近は大型台風が接近するというニュースが流れている。

アナウンサーによれば直撃するのは2日後らしい。

けれど窓の外の雨はもう本降りで、俺は一気に肩を落した。



ガチャ



「ただいま、涼介〜」


「っ…！」



全裸でベッドに横たわる俺に玄関から憎たらしいあのヒトの声が聞こえる。

昨夜ゴムが1箱切れてしまう程に抱き明かされた今の俺は仕事にも行けない程全身ガクガクで、思い出したくもないソレが頭の中でフラッシュバックした。


それからもう1人の足音。

話す声は少し興奮気味で甲高く、お酒でも飲んできたのかと予想させた。


そして



カチャ



「うわ、なに。コイツまだ居んの？私が来る時は追い出しておいてって言ったじゃんかぁ〜」


「ああ、ごめん忘れてた。」



甘ったる過ぎる濃いめの香水を振り撒き、何処かで盛り上がっていたのか、シャツのボタンが取れてブラジャーが見えている女。

その女は俺の居る寝室のドアを開けて姿を確認した後、分かりやすいくらい眉を歪めて俺を睨みつけた。



「ただいま、涼介。」


「ぁ……っ、おかえり…なさい、」


「昨日はごめんな？酷くしちゃって。」


「ぃえ…、大丈夫……です…っ」


「うん、そっか。」



ギシッ……と音を立てながら近づいてきたのは女の後ろから来たこのヒト。

愛おしそうに俺の頬をゆっくりと撫で、昨夜縛られ続けた為についた痕が残る手首へ触れる。

すると女が冷ややかな目で俺を見つめ、あからさまに怒りを露わにしていた。



「チッ。なんなのコイツ。猫かぶってんのバレバレなんだけど。
あーマジ萎えた〜、私帰ろっかなぁ？」


「悪い悪い。お前も後でたっぷり鳴かせてやるから許せよ。スグ出て行かせるから、シャワーでも浴びろ。」


「えぇ〜？やだ、一緒に入る〜」


「分かった分かった。」



目の前で繰り広げられる会話も随分と慣れたものだ。

このヒトの恋人…いや、カラダの関係を持っているのは俺だけじゃない。

それこそ雨の日は必ず色々な女と帰ってきて一晩過ごすのだ。


その際、当然邪魔になる俺はこの女だけじゃなく他の日の女からも痛い視線を感じていた。

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