【あんスタ】転校生と愉快すぎる仲間たち。（２）

崩れ落ちる希望。 ページ12

『え、英智先輩…！？』
「誰が女の子みたいだって？」

そう顔を上げてニッコリと笑って言う英智先輩。
…口は笑っているが目が笑っていない。

これ怒ってますよね英智さん。

『あはは…。それは〜…』
「誰が女の子なの？」
『…すいませんでした』

再度圧を掛けられ素直に謝罪をする。
こりゃ完璧に地雷踏んだな。

「心外だなぁ。君に女の子に間違われるなんて。」
『ごめんなさいもう言いません』
「それで何か僕に用事かな？」

やっと腕を離してくれた英智先輩にここに来た目的を思い出す。
そうだ。報告書渡さなきゃ。

『敬人の代わりに報告書持ってきました！』
「…敬人？」

私の言葉に英智先輩の眉がピクリと動く。
あぁ、またあのパティーンね。
敬人が呼び捨てで呼べなんて言うから…。

『まぁ色々ありましっぐえっっ！！』

弁解しようと口を開けば思い切り口を掴まれる。

いきなり何してくれてんねん貴様！！！！

『うーっう！！ふごごっふがっ』

声を出しても言葉にならない。
こんな細いのにどっから力出てんだよ！？

「…嫌だなぁ。僕の聞き間違いじゃなかったら今「敬人」って聞こえたんだけど」

必死に抵抗しようと英智先輩の腕を掴むがビクともしない。

やべぇ。英智先輩も要注意人物じゃねぇか。
この間2人で子羊食った仲だと油断してたよ英智さん。

「敬人は僕の右腕であって大事な幼馴染でもある。
…でもそれとこれは話が別だ。
僕を本当に理解してくれるのはAちゃんだけなんだ…。
僕はもう君を離したくない、君は僕の物だ！！！」
『っっ！！』

そう血走ったスカイブルーの瞳で叫ぶと掴んでいた口を離してくれた。
力強く掴まれていたせいか少し顎の骨が痛む。

「…文化祭の件だけれど生徒会から2班に対して一切援助はしない。」
『！？そんなの横暴すぎる！！』

顎を抑える私に容赦無くぶつけられた言葉。
思わず英智先輩の胸ぐらに掴み掛かる。

「横暴でも何でも構わない。これは君に対する罰だ。
…僕は良い人でも優しい人でも無いよ。」
『っ…そんな…！』

私の中の何かが崩れた音がした。
今まで積み重ねて来た物が全て水の泡になる。

あんなに頑張ってくれている皆の努力が無駄になる事が何より怖いー。

『…っ』

力無く座り込む私を見下ろす英智先輩の瞳は氷より冷たかった。

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