流行りに乗ってみたい二人 《天祥院英智＆蓮巳敬人》 ページ3
｢ねぇ敬人。最近流行りのゆーちゅーぶって知ってるかい？｣
｢…何だ突然。｣
｢千秋から聞いたんだよ。何やら面白そうだと思ってね。｣
昼下がりの生徒会室。ティーカップに入ったアールグレイを口に運びながら本棚を整理する幼なじみ、敬人に話を振る。
｢度し難い…。あいつは余計な事しか教えないな…｣
｢それでね、考えたんだ。僕もゆーちゅーぶデビューをしようと思うんだ。｣
｢…英智。頭でも打ったか？…いや、可笑しいのはいつもの事だが…。｣
｢全く、酷いね。僕はこれでも本気だよ？｣
YouTube。僕も小耳に挟んだ事はあるけど実際見た事は無い。
僕もたまには庶民的な事をしてみたい、なんて。
｢ネタは取り敢えず｢メントスコーラで敬人の眼鏡壊してみた｣にしようと思うんだけど、｣
｢何が取り敢えずだ。俺の眼鏡はやらんぞ。この馬鹿者が。そもそもそんな馬鹿げた物に何故俺が加担しなければいけないんだ。｣
｢釣れないなぁ。僕もだって健全な男子高校生だよ？
そういう馬鹿げた事にだって興味はあるさ。
寧ろ興味が無い敬人の方が怖いよ。本当は50過ぎのおじさんだったりして。｣
｢…貴様。俺を馬鹿にするのもいい加減にしろ。
これ以上俺のプライドを汚す様なら説教5時間コースだ。｣
銀縁の眼鏡の奥から僕を睨む黄緑の瞳。
敬人は昔からそうだ。子供なのに子供らしくない。
幼い頃もずっとお経を読んだり寺の掃除ばかりしていた。
可愛げのない奴だ。
｢本当敬人は冷たいね。真冬の布団くらい冷たいよ。｣
｢訳の分からん言い回しをするな。｣
｢訳が分からないのは敬人の方だよ。さっきから何を読んでいるんだい？｣
そう僕が着目したのは敬人の手の中にある1冊の本だった。
敬人の手が邪魔で表紙が見えない。
｢…これは寺の図鑑だ。｣
｢にしては薄いけどね。｣
バサッ
｢っおい！英智！｣
敬人が眼鏡をクイッと上げた隙を突いて手に持っていた本を奪う。
これはー。
｢…インスタグラマーになる方法｣
｢わ、悪いか！羽風から借りたんだ、その…学院の行事等を宣伝するのにだな…｣
｢インスタ映えの定義！これで貴方もオシャレインスタグラマー！｣
｢…英智。これはだな…深い訳があってな…。｣
一切僕と目を合わさない敬人。
敬人も可愛らしい一面があったんだね。
｢…一緒にインスタデビューしようか。敬人。｣
｢喧しい…！度し難い…。｣
ー後日、敬人と英智のインスタ共同アカウントが出来たらしい。
お騒がせヒーローと苦労人ハイエナ 《漣ジュン＆守沢千秋》→←正反対☆凸凹コンビ！ 《斎宮宗＆守沢千秋》
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作者名：そら | 作者ホームページ：https://twitter.com/Sora_Ux_xUoO
作成日時：2021年7月12日 1時
