『初恋の誓い』【八乙女楽】「第一部」 (ページ45)

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番外編ページ45

花火ももう打ち終わり帰る頃、楽は先に立って座っているAを立たせた。

「家まで送る。」

これまた紳士的な言葉を言う楽に、遠慮がちに頷いた。

此処でAは気付く。

花火の事で忘れていたが、まだ自分の手と楽の手が繋がれているという事に。

しかも恋人繋ぎというものだ。

今更ながらも恥ずかしくなって顔を赤くしていくAに気付き、楽は心配したように声を掛ける。

「…顔赤いけど、何かあったか？」

「へ！？あ、別にそういう訳じゃなくて！…ただその…手を繋がれてる事が、何か恥ずかしくなって…。」

　
目を泳がせながら更に顔を赤くするAに、楽は意地悪そうに微笑む。

「言っただろ？罰ゲームだって。」

"分かってるんだけど…。"と口を濁しているAに悪戯心が芽生えたようで、自身の手を頬に滑り込ませAの顔を上げた。

驚いた顔をして顔を赤くしていくAだが、全く気にせず少しずつ顔を近付ける。

最初は戸惑っていたAだったが、近付くにつれ目をぎゅっと閉じていく。

残り僅かの距離となった時、触れた感覚が来たのは額だった。

思わず目を開け放心状態となるAに笑いかけ、楽は意地悪そうに言った。

「口が良かったか？」

「…っ！そんな事ない！」

顔を真っ赤にして言うその姿を、楽は愛しそうに見つめていた。

している事はもう既にカップルである。
　