NO.20 ページ22
無意識に言った言葉に何故か目を丸くすると、無理した笑顔を作って、"大丈夫だよ"と一言返す。
「でも、大丈夫って感じしないよ?」
引こうとはしないAの言動に奈歩は驚きを隠せないが、さっきまで無邪気に笑っていた顔とは違う、本当に心配している真っ直ぐな瞳を向けられて嘘が吐けなくなった。
「……Aちゃん。私の話、聞いてくれるかな?」
悲しそうに言ったその姿に頷けば、奈歩は柔らかく微笑む。
緊張を解すように深呼吸を繰り返し、口を開いた。
「……私の家族はね、凄く仲良いの。それが、唯一私の自慢できる事…。」
嬉しそうに笑って誇らしげに言うが、一変して悲しそうな顔をする。
「……けど、数ヶ月前から仲が悪くなってしまって、よく喧嘩するの。…今まであんなに仲が良かったのに、そんな二人の姿は見たくなくて、凄く辛くて……。……私は、何も出来なかった。」
悲痛な、助けを求めているような悲しい叫び。
その話を聞いてAは真っ直ぐな瞳を奈歩に向けた。
ゆっくりと手を伸ばし、安心させるように凛々しく微笑む。
「…じゃあ、行こうよ!お母さんとお父さんの所に!」
思いもよらないAの発言に俯いていた顔を上げ、唖然と固まる奈歩の手を無理矢理引っ張る。
それはAだからこそ出来た事だろう。
常識を考えたらとてもそんな事は出来ないが、その真っ直ぐな性格だからこそ、出来るのかもしれない。
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琳架 - オリジナルフラグを外してくださいね。 (2018年3月17日 12時) (携帯から) (レス) id: c9d4810d09 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月神姫 | 作成日時:2018年3月17日 12時