Fate/Unknown/Parede (ページ2)

今日:5 hit、昨日:7 hit、合計:3,085 hit

邂逅：A ページ2

私の名前は鹿乃清廉。

魔術師。でもまだ見習い。

鹿乃の魔術師はそこまで歴史が深いわけではなくて、それなのに才能(まじゅつかいろ)だけは人一倍。

ある日突然手に痛みを感じ、見てみれば紅い紋様。

波打つようなその令呪(しるし)は、あろうことか私を選んだという。

私は生まれてこの方、満足に外に出られていない。

理由は簡単。

生まれつき体が弱い。

才能(まじゅつかいろ)があろうと体が弱ければどうしようもなく。

場所は冬木(定番の地)。
私の父は、私に令呪があると知るなり、工房を用意してくれた。

鹿乃の一族としてこんなに嬉しいことは無いとばかりに。

(戦いが始まった後になってマスター権を譲渡出来る方法があると知って心の底から家族を恨みました。)

工房をある程度弄って、休息もとった。

さて…そろそろかな。

一番魔力の高まる時間…午前8時。

触媒は倉庫に眠っていた数百年前のペン。

鑑定したらすごいものだったらしい。

なんでも、物書きのペンだとか。
最近は電子デバイス。確実に昔の人のものだ。
よく知らないけど、書いたものの名前だけはやたらと有名な人のペン、しかも本物。

初めて見た時、ペンには保護の魔術がかかっていた。
恐らく一時期別の魔術師が持っていて、譲られたか紛れ込んだかで倉庫にあったんだと思う。

作家の人が召喚されてしまうのでは？

そうは思ったけど背に腹は変えられない。
触媒がこれ以外に見つからなかったから。

ひょっとしたら作品の怪物とかを召喚できる人かもしれない。

息を深く吸って、吐く。

早くなっていた心臓の鼓動を少しでも落ち着けようとする。

触媒を掲げる。

魔力を流し込む。

詠唱は覚え(させられ)た。

死にたくないんです。令呪を奪おうと目論む彼ら(まじゅつし)から、どうか私を守ってくださいーー

「汝三大の言霊を纏う七天、
　抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――！」

1拍、2拍、3拍ーー眩い光が視界を覆った。

「サーヴァントセイバー、ここに顕現した。問おう、汝が我のマスターか？」

「…ッはい！」

私の聖杯戦争が、始まる。