日常記録3【爆豪勝己】 (ページ46)

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私たちは互いに想いあっていると知っていても口にはしなかった

ヒーローがどれだけ不確かな存在かわかっているから

高校一年生のあの頃、痛い程に思い知ったから

いつ自分が命を落とすかわからない

大切なものを守るには大切なものをつくらないこと

それが私たちの選んだ道だ

貴｢……ならよかった、私の人生

とっくに勝己に渡してる｣

爆｢そーかよ｣

鼻で笑った勝己の声に全身の力を込める
これが最期になるとしても

ヒーローは諦めない
守るべきものを、命果てるまで守り通す

｢死ぬんじゃねぇぞ｣小さく呟かれた言葉に｢そっちこそ｣と返し大きく一歩を踏み出した

腕が引きちぎれそうなほど痛む

足の感覚はもう既にない

口の中は血の味がして、どうやって自分が戦っているのかもよくわからなかった

けど、ヒーローの宿命とでもいうのか、ボロボロだろうがなんだろうが意識ある限りに不思議と身体は動いた

泣き喚く子供のために、血を流す市民のために

そうして最後の敵を倒したとき、私も力尽きたようにその場に倒れ込んだ

火炎の中、鼻を刺激するような燃え焦げる匂い
立ち上がる黒煙の合間に曇った空が広がっていた

ズズっと足を引きずる音が地面を通して耳に響く

嗚呼、これ以上は戦えない
まだ敵の生き残りがいるのか
勝己はどうなっただろう、生きているだろうか

段々と思考も覚束なくなる

霞んだ視界が陰り、私を見下ろすその影に息の根を止められる、そう思った

爆｢情けねぇ面｣

貴｢……勝己｣

ドスンと隣に倒れ込んだ勝己からも嫌なくらい血の匂いがした

爆｢……生きてンな｣

貴｢ギリギリ…｣

爆｢キスしてぇ｣

鼓膜を震わせたそんな言葉に少し驚く

貴｢………急だね｣

爆｢悪ぃかよ｣

貴｢ううん｣

私に覆い被さった勝己は呼吸をする余地も与えずキス降らす

噛み付くように、貪るように

私もそれに必死に応える

まるで生を確かめるような本能に任せたキスだった

初めて勝己と交したキスはどちらかも分からない血の味がした

今、この人が生きているのだと、
私はまだ、生きているのだと、重なった唇を確かなものだと信じて

何度も何度も重ね合った

全身を走る痛みも、勝己の温もりを感じているこの時だけは｢生きている｣を実感する大事な証拠だった

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※訳あって一度非公開にしておりました。