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貴女side
二人と歩く道は、ひどく久しぶりだった。
あの日、母を失い、頼るつてを完全に失くして。生きる場所もよすべもない私が、朔間さまに拾われた道路。
子供一人が泣いていても素通りされるような、人通りの多い場所。
傾けられた黒い傘と、彼の濡れた右肩。柔らかく温かなその人に、初めて身を委ねたあの日を、私は今でも夢に見る。
「Aと登校とか、ものすっごい違和感ある」
「ふふ、でしょ〜。やっぱり俺の判断は正しかった。Aはもっと世間に触れるべき」
「その件については、ありがたいと思ってます」
同級生でしょ、と朔間くんにむにっと頰をつままれる。
「朔間くんじゃやだ」
「本来同級生じゃないですよね?」
「そーいういじめよくない、もっと主人を敬って」
「ですから敬って呼び捨てしてないんです。ね?」
「こいつ…一枚上手だった」
「お前らまじでなにやってんの」
むぅ、とむくれていた朔間くんが、あ、と声をあげた。
「A、これがあんたの通う学校」
思わず伏せていた視線をあげた。
そこには、あまりにも立派で堂々とした建物がそびえたち、ほ、と息が思わずもれる。
満足げに私を眺めていた朔間くんが、ふと視線を別に彷徨わせる。
「あれ?コーギーじゃん、今日はバカ兄者と練習とやらじゃないのー?」
反射的に視線を向ければ、銀髪を揺らしながら荒い目つきの人が立っている。あれが噂のコーギーさんか。
彼は顔にうっすらと困惑の色を浮かべた後、すぐに苦渋に染めた。
「その吸血鬼野郎が眠気覚ましにジュース買ってこいとか言うから、俺が来てるんだっての」
俺はパシリじゃねぇ、と言いつつ従順にジュースを買っている。
「つか、リッチーも女連れてるとか珍しいな。誰だそいつ」
「んー?この子?この子はねぇ、俺の妹の朔間A。かわいーでしょ」
妙に嬉しそうに笑う朔間くんに、一度は聞き流したようだったが、すぐに違和感に気付いたのか、秒の早さでコーギーさんは振り向いた。
「はぁ!?」
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蝶遊(プロフ) - 私も推しが似てて嬉しいです〜! か、活躍…できる限り頑張りますっ!!笑 (2018年9月2日 7時) (レス) id: 231773e0eb (このIDを非表示/違反報告)
▼ 宮本 . △@ペアネβペア画中(プロフ) - 蝶遊さん» 来てしまいました~笑 推しが似てて嬉しいです..凛月くん人気!!!!!!!!! 今後の作者様の活躍を期待していますっ (2018年9月1日 19時) (レス) id: 7a40cd812c (このIDを非表示/違反報告)
蝶遊(プロフ) - ▼ 宮本 . △@ペアネβペア画中さん» わわ、こっちにも来てくださったんですね! なんか推しが似てますね…笑 コメントありがとうございます!! (2018年9月1日 19時) (レス) id: 231773e0eb (このIDを非表示/違反報告)
▼ 宮本 . △@ペアネβペア画中(プロフ) - うはぁぁぁ!!!!!!!!!歌い手小説からやって来ました(*''*) 推し…同じです!凛月くん~~好きや~~!!笑 (2018年9月1日 18時) (レス) id: 7a40cd812c (このIDを非表示/違反報告)
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