相思相愛【朔間凛月】

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凛月side


『彼氏です』



はっきりとしたあの声をまるで夢の中のように思ってしまう。本当か確かめようとすればするほど、記憶に霧がかかってしまうような気がしたから。




心なしか赤らめた頰。心配げに見上げてくる目は、伺うように曇っていて。


すき。




やっぱり、Aのことが好きだって。言ってしまえたら、楽なのに。





「…あのさ、」


「はい？」



「一曲、付き合ってくんない？」






繋いだままに手を少し引いて聞いてみる。


表情は作れてるかな。少しでも余裕そうに見えてればいいんだけど。





「……いい、ですよ」


「ほんとに？」


「本当です。またあの人に絡まれるよりマシです」





身もふたもないないようなことをさらりと口にして、Aは俺を見上げてにこりと笑う。


…ほんと、生意気になったもんだよね。




練習した分、上手くなってなければ許さないからね。





そっと引き寄せたその時に、お返しとばかりに囁いた言葉は聞こえていたのか。



…うん、たぶん聞こえてた、よね。







「______…え、」









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『もう他の奴に触らせないでよねぇ』
なーんて、君に聞こえているなら、Aはどう思ったのかな、なんてね。

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