相思相愛【朔間凛月】

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貴女side


「お、おお…おお……？」



朔間くんがじとっと私を眺めてくる。開いた口が塞がらないって、多分こういうときに使うんだろうな。


連れ込まれた会場は細かく彫刻や飾りが彫り込まれていて、そういうものに不慣れな私は目を見張る。




「おや、朔間くんたちじゃないか」





学園で何度か聞いた声が、柔らかく降り注がれる。


やはり柔和な微笑みを浮かべて、ほっそりとした洋服を身につけた天祥院先輩。
その笑顔はステージ上では煌びやかで鋭利だけれど、ここで見ると一層儚げに見えた。



当の本人は気にした様子もなく、私に無邪気に笑いかける。





「Aちゃんも着飾るとまた可愛らしいね」


「…お世辞でも嬉しいですよ」





そうは見えないけどね、なんて真顔で言った私にやはり可笑しそうにくすくすと笑みをこぼす彼。


天祥院先輩は旦那様に目を向けると、微かに口角を上げた。





「本日はここまで足をお運びいただき、ありがとうございます」


「いやいや、お招きいただきありがたいよ」





父はあちらに、と天祥院先輩は旦那さまと奥様を連れて会場に入っていく。


楽しんでね。
振り向いた彼の唇は、やはり楽しそうに弧を描いている。






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