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貴女side
「零様、A、夕ご飯の準備ができたからきてくださーい」
軽やかな声がドア越しに聞こえる。私たちは無言で顔を見合わせて、雪乃さんの声に返事を返した。
「食べた後も見ても大丈夫かえ?」
「大丈夫ですよ。ありがとうございます」
もう一度口に含んだスポーツドリンクは、慣れない甘さを残した。
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食堂に入ると、もう朔間くんは帰宅済みだったのか、私を視線に入れると小さく微笑んだ。
「A、ただいま〜。お疲れ様」
「ありがとうございます。朔間くんも、お疲れ様です。お出迎えできなくてすみませんでした」
別にいいよーそんなの、と朔間くんは特徴的な血色の瞳を細めてみせる。配膳ぐらい手伝おうと、キッチンに向かう扉を開けた時だった。
「わっ」
「えっ」
どさ、と誰かにぶつかって、そっと背中に手を回される。そっと顔を上げると苦笑じみた笑いを浮かべた春さんと、上品な香りのする男性。その後ろに、艶のある黒髪を束ねた品のある女性が。
二人の特徴は、主人たちよりも少し濃い、紅の瞳。
「旦那様、奥様…」
「Aか。綺麗な子に育ったものだなぁ。私たちが留守の間、この家を守ってくれてありがとう。息子たちは迷惑をかけてないかね」
「いえ…」
あまりにも久しぶりすぎて、動悸が激しい。春さんは、そんな私を見てか緊張をほぐすように笑みを向けて「お二人はついさっきお帰りになられたんだ」と声をかけてくれる。
曖昧に返事を返した時、服を着替えに行っていた朔間様が部屋に入ってきて、おや、と驚いた表情を浮かべた。お二人は、朔間様に軽やかな返事をしている。
「ところで、零。あとでパーティのことと、例のことについて話があるんだ。すまないが、夕ご飯を食べたあと私たちの部屋に来てくれ」
「あー…、A、ダンスの練習は……」
勿論なしだろう、と私も思って頷きかけた時だった。朔間様は、何かを思いついたかのように声をあげてにっこりと朔間くんに視線を向ける。
ぼーっとしていたらしい朔間くんは、なに?と棘のある声で返した。
「凛月、すまんがAのダンスの相手を頼んでいいかの?」
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蝶遊(プロフ) - 私も推しが似てて嬉しいです〜! か、活躍…できる限り頑張りますっ!!笑 (2018年9月2日 7時) (レス) id: 231773e0eb (このIDを非表示/違反報告)
▼ 宮本 . △@ペアネβペア画中(プロフ) - 蝶遊さん» 来てしまいました~笑 推しが似てて嬉しいです..凛月くん人気!!!!!!!!! 今後の作者様の活躍を期待していますっ (2018年9月1日 19時) (レス) id: 7a40cd812c (このIDを非表示/違反報告)
蝶遊(プロフ) - ▼ 宮本 . △@ペアネβペア画中さん» わわ、こっちにも来てくださったんですね! なんか推しが似てますね…笑 コメントありがとうございます!! (2018年9月1日 19時) (レス) id: 231773e0eb (このIDを非表示/違反報告)
▼ 宮本 . △@ペアネβペア画中(プロフ) - うはぁぁぁ!!!!!!!!!歌い手小説からやって来ました(*''*) 推し…同じです!凛月くん~~好きや~~!!笑 (2018年9月1日 18時) (レス) id: 7a40cd812c (このIDを非表示/違反報告)
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